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覇王の贄(にえ)
タイトル 覇王の贄
著者 矢野隆(やの たかし)
出版社 (単行本)光文社(文庫)
ISBNコード (単行本)978-4-334-92990-9(文庫)
値段 (単行本)1500円(文庫)
発行日 (単行本)2015年2月(文庫)
メモ

天正9年。
近頃信長公が召し抱えた牢人、新免無二斎。
船の櫂のような不格好な木太刀を得物とし、どこの流派とも知れぬ剣を使い、そして滅法強い。
腕に覚えのある小姓を立ち合わせては、返り討ちにされ、肉の塊になるまで殴り殺されるのを
冷やかに、しかしどこか嬉しそうに見ている信長公。

この男を一対一の勝負で殺せる者を連れてこい。

と、無茶振りされたのが、
秀吉、丹羽、権六、利家、九鬼、光秀。
それぞれが、信長公の意向を汲む為に、また、己の身の為に、矜持の為に、対戦相手を選び、
そして、見えぬ公の心を計りかね懊悩するお話。

全体的に、全員残念な感じで残念でした。
それぞれの個性というか、人間らしいところが出ているといえばそうなのですが、
まあ、結局、皆誰も信長公の事が好きじゃない。のが原因かな(笑
超上から目線の五郎左の、最後腹くくった姿は素敵だった。
愚直を絵にかいたような柴田は唯一かっこよかった。
利家に呼び出されて、試合の途中で遁走した慶次は流石。
時々挿入される、濃姫様と光秀の会話は面白かったけど、結局光秀が謀叛したのは、
弱者(光秀)が強者(無二斎)を倒すという美しさを求めた為、
という、信長公も濃姫様も完全スルーな理由で、織田ご夫妻好きにはきついオチでした。
最初から、管理人の贔屓目をもってしても、冷酷無慈悲な暴君で通ってきた信長公が、
そう描かれているのは何か理由があるのだよ、と、
最後、謎ときがあるんじゃないかと思っていたのですが、
光秀に非力だの小さいだの失望しただの云われた上に、
結局、おもちゃを見せびらかす子供のわがまま。という、
結論以外が見出せませんでした・・・某の力不足でござろうか・・・・

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出版社在庫あり(2016年2月現在)本屋さんで注文してあげて下さい。









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覇星 信長の生涯
著者 萩尾農(はぎお みのり)
出版社 (単行本)教育書籍(文庫)徳間書店
ISBNコード (単行本)4-317-60060-9(文庫)4-19-890626-2
値段 (単行本)1650円(文庫)524円
発行日 (単行本)1991年(文庫)1997年
メモ
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品切れ重版未定です。









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花いくさ
花いくさ タイトル 花いくさ
著者 鬼塚忠(おにつか ただし)
出版社 角川書店
ISBNコード 978-4-04-110069-1
値段 1600円+税
発行日 2011年12月26日
メモ
主人公は華道で有名な池坊の、池坊専好。
専好が生け、仏前に供える花の美しさは有名で、京の人々が毎日花が生けられる様子を見物に来るほど。
その花に癒され、励まされている人々に見守られながら、専好はひたすらに華の道に精進する日々を過ごしていたのですが、
ある日出会った千宗易(利休)との交流を通じて、専好はその才能を更に花開かせてゆくのでした。
信長が本能寺で横死し、秀吉が天下を治め、
京の町にも穏やかさか戻っていくにつれ、
新たな支配者秀吉の専横が激しくなってゆきます。
専好の花を見に人々が集まるのを、良からぬ企みがあるのでは、と糾弾され、
秀吉の悪口を言った、と云うだけで、町の娘たちが処刑され、
ついには、師とも友とも慕う利休が、秀吉の怒りを買い、自害させられてしまいます。

「おのれ、秀吉――――」

例え、家族に累が及ぼうとも、秀吉に一矢報いねばならぬ。
私にしか出来ない方法で。
専好は決意します。
親交のあった前田利家に頼み、秀吉が前田屋敷に下向の折、
出迎えに飾る花を生ける機会を得た専好は、
その花に、ある仕掛けをほどこすのですが・・・・・・

あとは読んでのお楽しみ。
と云う訳で、表紙からも帯からも、全く、毛ほどもうかがえませんが、
美味しいとこは総て、我らが上様が持って行きました(笑
久しぶりに良い、『秀吉LOVE→信長』小説でした。
いやいや、ちゃんと、専好&利休の、道は違えど、美を追求する者同士の、静かだけど熱い友情!みたいなお話なんですよ。
そうなんですけど、ちょいちょい入る、秀吉の回想やら説明やらでの
わし信長様大好きなんだけど!!!!!
表現が、もうたまらなく可愛いのですよ(笑
後半の秀吉は色々酷いけど、秀吉が本当に上様好き過ぎて泣ける(涙

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(2015年2月現在)出版社在庫あり。近所の本屋さんで注文してあげてください。









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光みなぎる絵を―信長と永徳―
著者 水木光介(みずき こうすけ)
出版社 日本文学館
ISBNコード 4-7765-0149-X
値段 1000円
発行日 2003年12月15日
メモ
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品切れ重版未定です。









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美将団 信長を愛した男たち
美将団 信長を愛した男たち タイトル 美将団 信長を愛した男たち
著者 有沢真由(ありさわ まゆ)
出版社 宝島社
ISBNコード 978-4-8002-1013-5
値段 600円+税
発行日 2013年5月10日
メモ
日本ラブストーリー大賞の最終候補作。
だそうで、どんな話かしら。と思っていましたら、ちゃんと衆道の話でした。
日本ラブストーリー大賞の懐が深すぎて凄いです(笑

主人公は長谷川秀一。
自分の美貌も知性も利用して、超出世してやるぜ!と、御屋形様のお小姓として岐阜城に入った竹(秀一)。
ところが、御屋形様にぞっこん惚れ込んでしまったばかりに、嫉妬の無間地獄に陥ることに・・・・

いやあ、なんか、もう、
男の嫉妬は見苦しゅうござるぞ、長谷川殿。
と、ツッコミをいれてあげたくなるほど、昼ドラマみたいでした。(冒頭はちょっとハーレクインだった(笑
御屋形様の御寵愛を受け、寵童として頂点を極めたにもかかわらず、
ライバルの万見にお手がついたと噂されれば嫉妬に狂い、
若くて野心もある美童の蘭丸の出現にも肝を冷やし、
蛍とそしった村重には陰湿な妨害を仕掛け、
御屋形様に嫁を娶れと云われれば悔し涙を流し、
御寵愛を失うことに怯え、つなぎとめることに必死になり、
御屋形様の一言一言に、天にも昇れば、地にも落ちる。
という、ものすごくどろどろした、でも乙女のようなお竹でした。

ただ、如何せん、管理人は万見派なので、(何それ
もう、万見が可愛くて愛しくて切なくて、見ておられませんでした。
有岡攻めの件なんぞ、
やめてー!行かないでー!御屋形様のばかー!
と、悶絶しきりで、この戦が終わったら、酒でも飲もうぜ、
とか死亡フラグ立てたお竹には殺意すら覚えました(笑
いや、でも、結局万見が可哀そうだったのは、すべて御屋形さまのせい。御屋形様が悪い。酷い。鬼。悪魔。
と云う訳で、
城の奥も表も嫉妬の渦巻く修羅場と化させてしまう素敵プレイボーイ上様が御覧になられたい方にはおススメです。
男子は回れ右。時代小説が読みたい。という方も回れ右。

ただ、上様大好きお竹に、同調して読み終わって、
ああ、切ないなぁ(よよよ
と、思った後に、お竹の本能寺後を思い出すと萎えるかも。
土方かせめて松寿みたいになってたらもう、傑作だと思うのですが、
それは作者さんのせいじゃなくて、お竹のせいなので仕方がないですね。

ああ、ちなみに、
夜のあれそれなシーンは仄めかす程度なので期待しすぎないように(笑
入手方法
出版社在庫あり(2014年9月現在)本屋さんで注文してあげて下さい。









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火神 (上下)
タイトル 火神(ひのかみ)上下
著者 竹山洋(たけやま よう)
出版社 日本放送出版協会
ISBNコード(上) 4-14-005489-1
ISBNコード(下) 4-14-005490-5
値段 各1890円
発行日 2005年10月25日
メモ
作者の竹山洋氏は大河ドラマ『秀吉』『利家とまつ』の脚本も書いていらっしゃいます。
イタリアでミケランジェロの弟子をしていたという絵師が主人公です。
千宗易の薦めにより、信長の肖像画を描く事になり、それがきっかけで信長や秀吉と親しくなります。
相手の心が見通せ、遠くの出来事を知る不思議な能力を持つ信長の手足に、
キリストが磔にかけられた痕のような傷痕を主人公は見つけます。主人公は思います。信長はキリストの再来ではないのか?と。
ある日、信長に近しい人々が、炎の中で信長が滅びる幻を見ます。その数12人。キリストの弟子達、十二使徒との符合。
信長は自分が間も無く死ぬと予言し、安土城天主でその12人を集め、最後の晩餐をひらくと言い出します。
ユダは誰なのか。信長の予言は本当なのか。『私は火の神となる』という信長の言葉の意味とは・・・・

最近の私の解説って引っ張りますね(笑)
同じキリストネタなら、宇月原晴明氏の『信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』の方が断然お勧めです(をい)

入手方法
版元品切れ重版なし。ネットになら在庫ありそうです。









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炎の人 信長(全6巻)
炎の人信長〈1〉自立篇 炎の人信長〈2〉飛翔篇 炎の人信長〈3〉奔流篇
炎の人信長〈4〉狂瀾編 炎の人信長〈5〉劫掠篇 炎の人信長〈6〉炎上篇
題名 炎の人 信長(全6巻)
著者 桑原譲太郎(くわはら じょうたろう)
出版社 徳間書店
ISBNコード (1)978-4-19-860238-3
(2)978-4-19-860254-3
(3)978-4-19-860334-2
(4)978-4-19-860368-7
(5)978-4-19-860423-3
(6)978-4-19-860473-8
値段 1・2巻1650円+税 3〜6巻1748円+税
発行日 1995年2月〜1996年4月
メモ

(読了後のハイテンションブログより)

凄かった。これは本当にすごかった。
もう、言葉には尽くせぬくらい面白かった。

読み終えて、本を閉じた時の疲労感と云ったら、
連日徹夜で原稿書いて、脱稿した時のような燃え尽きた感で、とても幸せな気分です。
数々の書評で知って、全巻揃えはしたけれど、
最早、ネタなんではないだろうか、という書評の内容に、
管理人の中で伝説と化してしまい、手を出しあぐねていたのですが、

ああ、もっと早くに読んでいれば良かった。

という思いもありつつ、そこそこの数の信長本を読んできたからこそ、
今、心が震えるほど面白いと感じられたんじゃないか。という思いもあり・・・・
と云う訳で、『炎の人信長』は見事、管理人的

『人生狂わせるほど好きなんだけど、
 激しく人に勧めづらい作品』

の仲間入りを果たしました。(ぱちぱちぱち

全6巻、という信長小説にしては多い文量もさることながら、
作者桑原氏の主人公(信長)への思いが、あまりにも熱く
ほとばしっているのが、途中挫折者を出す理由だと思うのです。
文面からあふれ出る、

『信長の偉大さを思い知れ、うすらばか共め』

という、桑原氏の思いは、
(まあ、本心で無く、計算の上だとしたら、それはまた作家として末恐ろしいというか、  いいぞ、もっとやれ、と思うところでありますが)
信長好き初心者には食傷をおこさせるでありましょうし、
逆に信長フリークにとっては、前半、あまりに輝かしく未来に向かって駆け、
次々と苦難を乗り越え、敵を倒してきた信長が、巻が進むにつれ、
彼を真に理解する人たちが先に逝き、その敵が、旧弊、悪習、特権階級、腐った宗教集団などに変わってゆき、
信長がそれに苦しみ、心を疲弊させてゆくのが辛くて見ていられず、
更には、信長の寵愛を独占したいが為に、潜在的に信長の足を引っ張るのが、
よりにもよって秀吉と光秀、
というのが、信長が二人を愛しているが故に、余計に腹立たしい、口惜しい、というのが、挫折しやすい理由なんだと思うのです。
(後者は完全に管理人の葛藤そのものであります(汗

さて、
上様家臣団は信長ファンクラブか?とツッコミたくなるくらい、
みんながみんな上様が大好きなのですが、その中でも図抜けたのが、
光秀。
最初、濃姫様への恋心とか、舅殿の愛弟子は自分だ。
みたいなライバル心を抱いていたものが、事あるごとに、
この男には敵わない
と、打ちのめされ、打ちのめされ、それがだんだん信長に心酔して、
あこがれが愛に変わっていく過程が、変態管理人的にはもうぞくぞくするくらい面白かったのですが、
その愛が高じ過ぎて、

上様を私だけのものにするには、殺すしかない。

と思いいたっての本能寺。
という設定に、ニヤニヤ出来るかどうかで、この本の評価は割れると思いました。
余人は、ちょっとどうよ?
と、思われるかも知れませんが、個人的には、
虐められただの、領地を取り上げられただの、黒幕がいただの、
そんな、くそつまらん理由で上様が殺されるのは、我慢がならんのです。
光秀が上様が好きすぎて殺っちゃった。
と云う方がよほど胸がすく。
という同志は(いたらですが)是非、読破されたし。

とりあえず、
歴史小説初心者には、お勧めできない。
逆に、家族や友人がちょっと引くくらい、信長が好き。
という自信のある方は、是非読むべき。
どこを切っても信長礼賛はゆるぎないので、
魔王だの冷酷だの、大量殺人鬼だの精神異常者だのという
分かりやすい信長批判は、面白いほど返り討ちにしてくれています。
本能寺の変までの時間軸内の、秀吉と家康公の描写は、
有無を言わせぬ嵐のように突き進む信長に必死でついて行く好青年、
と云った感じで良いのですが、変の後のこの二人がやったことが、
信長に比べて、いや、比べるのも恥ずかしいくらい矮小で残念。
という描写が、管理人をしてちょっと擁護してあげたくなるくらいの
辛辣さなので、秀吉・家康公スキーさんは、要覚悟です。
五郎左ファンには超おススメ。
実在する織田家臣団の中で、一番おいしいポジションでした。
佐々をもっと活躍させて下さいよ、とじぇらしー感じるくらい(笑
濃姫様ファンは、何をおいても読むべき。
全巻買えとは云わない。とりあえず2巻まで読んで!!
ああ、もう、何よこの夫婦、素敵すぎる!!と、悶えたら、
タオルを用意して、覚悟の上で3巻に突入してください。
(すでに壮絶なネタバレになっている気がします。

桑原氏40代の作品。
もう少し年輪を重ねた時に、もう一度信長に挑戦したい。
という思いがある、と、あとがきにあり。
今年60歳。
この思いを忘れていらっしゃらないことを切に切に願います。

以上。
ヤンデレはお前だ。
という変態管理人の感想文でした。

(追記)
この感想を書いた時にはすでに、桑原氏がお亡くなりになっていたのを、
後日、教えて頂きまして、天は何と非情なのかと思いました。

入手方法
2010年7月現在、絶版。