一人の作曲家が同じジャンルの曲を複数作った場合、交響曲第1番、ピアノ協奏曲第3番という風に番号が付きます。この「曲種+番号」というタイトルの付け方はクラシック音楽独特で、取っ付きにくくしている要因の一つになってます。
普通、番号は作曲された順に付けられるのですが、結構例外があります。ここでは交響曲に限定して、いくつかの例を挙げてみることにします。
作曲順そのままですが、5番《運命》と6番《田園》は、初演される演奏会のプログラムで、番号が(ミスなどではなく)逆に紹介されていたようです。
6番までは作曲順ですが、かつて7番とされていた曲は、ピアノ・スコアでは完成されているものの、オーケストレーション(管弦楽化)が未完のままでした。このために後に続く《未完成》と《ザ・グレイト》がしばらくの間、文献や録音によって番号の解釈がまちまちでした。
現在は国際シューベルト協会によって、7番《未完成》、8番《ザ・グレイト》とされています。(行進曲での《未完成》紹介に「7(8)番」とあるのは、このためです)
作曲順ではなく、出版順に付けられています。作曲は1→ 5→ 2→ 4→ 3の順です。
第1番《春》の後に書いた、「幻想曲」と題した曲の初演が不評だったため、これを一時撤回。その後、第2番と第3番《ライン》が完成。そして改訂した「幻想曲」が、交響曲第4番となりました。
頻繁に改訂は施したものの、番号は作曲順です。
晩年、自作の整理をしている時に、1番より前に書いた曲の楽譜を見つけたブルックナーは、習作だが破棄するには忍びないと考え、「第0番」と記しました。
0番より更に前に書いた習作も残されてますが、これには番号が付けられてません。(第0番ニ短調に対して「ヘ短調」、または便宜上「第00番」としている事もあります)
20世紀中頃までは、交響曲は5曲とされてきました。最後の《新世界より》が第5番だったわけです。
後に初期の4曲が発見され、番号が再整理されることとなりました。ところが元からあった交響曲の番号は、出版社が勝手に変えたりしていて、作曲順にはなっていませんでした。現在の番号との対比は次のようになっています。
1→ 6、 2→ 7、 3→ 5、 4→ 8、 5→ 9。(右が現在の番号)
現在は作曲順に並んでいます。
番号付きは、未完成に終わった第10番まであります。
8番の次に書いた曲を完成させた時、過去の作曲家の多くが9番まで書いて世を去っている事、そして出来た曲が交響曲と歌曲の中間の性質を持っている事から、番号を付けるのをためらい、《大地の歌》と名付けました。これを交響曲とするか歌曲集とするかは、指揮者やレコード会社の解釈で分かれます。
他の多くの作曲家と違い、表題のある場合はロンドン交響曲(交響曲第2番)、南極交響曲(交響曲第7番)という風に、番号が括弧付きで後ろに書かれます。作曲者が番号を記さず、最初に番号を付けたのが4番目に書いた交響曲で、これを「第4番」としたからです。