Andante comodo −音の住む館−
日本語表記あれこれ
新聞や音楽の教科書には「ベートーベン」、「ビバルディ」と書かれているのに、クラシック音楽関係の書籍・CDでは「ベートーヴェン」、「ヴィヴァルディ」となっていて、初めは違和感を覚えた方も多いと思います。
言うまでもなく、クラシック音楽は西洋発祥です。日本語ではない言葉や名前、発音を日本語に置き換えるのですから、幾通りもの表記法が存在します。例としては、長音(伸ばす棒)や拗音(小さい「や、ゆ、よ」)、促音(小さい「つ」)があるかないか、漢字か仮名かの違いなどです。
また、同じ楽器でも国によって呼び方が異なっているものもあり、初心者は混乱してしまいますね。
実際に見かけた表記を挙げてみます。矢印の左側が、当館での表記です。
作曲家の名前
- ドビュッシー → ドビッシー、ドビュッシィ
- ドヴォルザーク → ドボルザーク、ドヴォルジャーク
- グリーグ → グリーク
- ハチャトゥリアン → ハチャトリアン、ハチャトリヤン、ハチャトゥリヤン
- モーツァルト → モーツアルト
- サン=サーンス → サン=サーンス、サンサーンス、サン・サーンス
- ショスタコーヴィチ → ショスタコービチ、ショスタコビッチ、ショスタコヴィッチ
- タルレガ → タルレガ(「ル」が小さい)、タレガ
- チャイコフスキー → チャイコーフスキー、チャイコフスキィ
- ワーグナー → ワグナー、ヴァーグナー
指揮者・演奏家の名前
- アバド (指揮)→ アッバード
- アルゲリッチ(ピアノ) → アルヘリチ
- マゼール(指揮) → マゼル、マーツェル
- ワルター(指揮) → ヴァルター
- ヴァルヒャ (オルガン)→ ヴァルハ
- ズーカーマン(ヴァイオリン、ヴィオラ) → ズッカーマン
曲名
- ゴルトベルク変奏曲(バッハ) → ゴールトベルク変奏曲、ゴールドベルク変奏曲
- ロメオとジュリエット(ベルリオーズ他) → ロミオとジュリエット
- 小犬のワルツ(ショパン) → 子犬のワルツ
- 驚愕(ハイドン) → びっくり
- レ・プレリュード(リスト) → 前奏曲
- 少年の不思議な角笛(マーラー) → 子供の不思議な角笛、少年の魔法の角笛
- 静かな海と楽しい航海(メンデルスゾーン他) → 凪いだ海と成功した航海
- プラハ(モーツァルト) → プラーグ、プラーハ
- 音楽の冗談(モーツァルト) → 音楽の戯れ
- シェエラザード(リムスキー=コルサコフ) → シェヘラザード
- 熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ) → 熊蜂は飛ぶ、くまんばちは飛ぶ
- アランフェスの協奏曲(ロドリーゴ) → アランフェス協奏曲
- 死と変容(R.シュトラウス) → 死と浄化
- ツァラトゥストラはかく語りき(R.シュトラウス) → ツァラトゥストラはこう語った
- バービ・ヤール(ショスタコーヴィチ) → バビ・ヤール
- ヴルタヴァ(スメタナ) → モルダウ
- アルハンブラの想い出(タルレガ) → アルハンブラ宮殿の思い出
楽器の名前
- オーボエ → オーボー
- イングリッシュ・ホルン → コール・アングレ
- ファゴット → バスーン
- ホルン → フレンチ・ホルン
- テューバ → チューバ、バス・テューバ
- 大太鼓 → ドラム、ビッグ・ドラム、グラン・カッサ
- 小太鼓 → スネア・ドラム
- タンバリン → タンブリン
- ピアノ → クラヴィーア、ハンマークラヴィーア、ピアノ・フォルテ
- チェンバロ → ハープシコード、クラヴサン
- ヴァイオリン → バイオリン
- チェロ → セロ、ヴィオロンセロ
- コントラバス → ダブルベース、バス、ベース
ここに挙げた例は、ほんの一部です。もちろん、どれが正しいということはありません。
(C)Shiomabushi
2004-07-28 作成
2006-03-27 更新