演奏時間:約24分
CDでドビュッシーの管弦楽曲集となると、大抵は交響詩《海》、牧神の午後への前奏曲、そしてこのノクテュルヌの組み合わせで収録されています。「海」や「牧神……」目当てにCDを手に入れ、そのついでに知ったという人も多いはずです。私がそうだったんですが、今ではドビュッシーの作品で一番気に入ってます。
「ノクテュルヌ」はノクターンのフランス語読みですが、一般的な夜想曲とは違い、空・陸・海の3つの情景を各曲で描いてます。全ての楽器を鳴らすことはあまりしないで、色彩感豊かな音楽になってます。また、所々で楽器によって違う拍子になるのも大きな特徴です。
変化しない空。そこに浮く雲は、やはり変わらないようでいて実際は僅かずつ変化しているもの。イングリッシュ・ホルン中心の静かな音楽は、どこか牧歌的な匂いも漂わせながら、雲のように変化していきます。
冒頭に弦が出す三連符のリズムが支配する、表題らしい華やかな曲です。中間で行進曲風の別のリズムが現れ、最初のリズムと溶け合ってクライマックスを作り、徐々に遠ざかっていきます。
美しい歌声で船乗り達を惹きつけ、近付いた船を沈めてしまうという海の精の歌を、女声合唱(歌詞なし)で表します。これに対してオーケストラは、月の光に照らされた海のきらめきと、波の複雑な動きを描写します。