演奏時間:約15分
ノルウェーの作家ヘンリク・イプセンは、自作の戯曲「ペール・ギュント」への付随音楽の作曲を、まだ無名だった同郷の作曲家グリーグに依頼しました。完成した音楽は劇と共に好評を博し、グリーグは一躍名を知られることとなりました。そして同時にイプセンの選択眼に狂いがなかった事を証明しました。
劇は全5幕から成り、冒険好きで空想癖のある人物ペール・ギュントの、波乱に満ちた生涯を描いています。
その後、グリーグは全26曲から演奏会用として、4曲ずつ2つの組曲を編みました。このうちの第1組曲が知名度も高く、よく演奏されます。
第4幕の前奏曲で、ペールが立ち寄るモロッコの朝の気分を表した曲です。冒頭のフルートの旋律が、聴き手を一瞬に朝の情景に誘ってくれます。
第3幕の前奏曲、そして息子であるペールに看取られながら、母・オーゼが息を引き取る場面で使われます。弱音器(ミュート)の付いた弦楽器だけで演奏され、単純な、しかしもの悲しい旋律が繰り返されます。
第4幕でアラビアに辿り着いたペールは、ある部族と知り合い、酋長の娘アニトラに誘惑されます。音楽はそのアニトラの官能的な姿を強調しています。
第2幕、ペールは山の魔王の娘と親しくなって、宮殿に連れて行かれます。宮殿では魔王の手下たちが「魔王の娘を弄んだ奴」と次々とペールを威嚇します。低音弦のピチカートから始まった主題は、最後には絶叫のようになって、魔物達がペールに襲い掛かる様がよく表されています。
劇の中では、後半に合唱が入ります。