演奏時間:約33分
「大きな峡谷」という意味のグランド・キャニオンは、通常はアメリカ・アリゾナ州にある国立公園のことを指します。この作品はグランド・キャニオンの風景を、5つの曲で描き分けています。
夜が明け、徐々に光が差し込んでいく情景が、見事に描かれています。空の白みを思わせる音に始まり、楽器が追加され、最後は全合奏で太陽の輝きを表現します。
岩石の種類や光の当たり具合で、様々な色が見える地表。神秘的な音楽に挟まれた短い中間部は、壮大な自然の脅威を表すかのようです。
組曲で唯一、人間と動物が登場します。旅人がロバに乗って、細く曲がりくねった山道を旅しています。2つの旋律が重なりながら、あるいは単独で繰り返されます。蹄の音を模したウッドブロックが効果的に鳴ります。
第1曲と対を成しますが、クライマックスは後半にあります。テーマを繰り返しながら盛り上がり、弱い鐘の音が夜の訪れを告げます。
グランド・キャニオンの夜。穏やかな風が吹いていたのも束の間、次第に雲行きが怪しくなり、遠くで稲妻が光ります。そしてついに強風と共に激しい雨が降り出します。
第1曲、第3曲のメロディーが所々に現れて、組曲の締めくくりの役目を果たしています。