演奏時間:約86分
マーラーが「らしさ」を出した最初の交響曲で、演奏時間は長いものの、内容は解りやすいです。クラシック音楽、特に19世紀以降ではよく扱われるテーマ「生と死」を、当時30代前半のマーラーなりに料理した結果です。
この楽章は「死」を表し、同時に「何のために人は生きるのか」という問いかけでもあります。激しさと優しさが入り混じった音楽で、死者が葬られます。
葬儀に参列した人々は故人を偲ぶ時、大抵はいい所ばかりを思い出すもの。ここではそんな「清らかな回想」が行われます。
同じく葬儀に出た人は、現実に直面して今度は自分の死を考え、恐怖を覚えます。
自作の歌曲の旋律を元にしたワルツ風の音楽で、ティンパニが活躍します。
同時期に作られた歌曲「原光」がそのまま使われています。「私は再び神のもとに帰る」という内容の歌詞が、アルト独唱によって優しく歌われます。
この楽章だけで演奏時間は30分を超えます。第1楽章での問いかけに対する答えが出されます。
3つの部分から成り、まず第1部では「最後の審判」を表す絶叫に始まって、次々と死者が蘇ります。第2部は蘇った死者の行進、そして再び「最後の審判」の絶叫で静かになり、フルートが鳥の鳴き声を描写します。
第3部で合唱が静かに「蘇る、そう、蘇るだろう」と歌いだし、しばらくしてソプラノ、アルト各独唱が加わって次第に盛り上がります。「汝は無駄に生き、苦しんだのではない」、「生きるために私は死ぬのだ」。合唱が歌い終わると、最後はオーケストラによる壮大な響きで結ばれます。