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マーラー
 交響曲第5番 嬰ハ短調

演奏時間:約70分

 「アダージェット(やや緩やかに)」と題された第4楽章が、映画「ヴェニスに死す」に使われ、よく知られています。楽章は5つですが、マーラー自身によって第1、2楽章が第1部、第3楽章が第2部、第4、5楽章が第3部とされ、第1、4楽章はそれぞれ次の楽章への序奏の役割を持っています。
 各楽章を悲しみ−怒り−楽しみ−安らぎ−喜びという具合に、感情を「暗」から「明」に並べた曲、と考えていいでしょう。

第1楽章 葬送行進曲: 規則正しい歩みで、厳格に、葬列のように

 最初のトランペットの旋律が葬送行進曲のテーマです。一瞬、ベートーヴェンの《運命》かメンデルスゾーンの結婚行進曲を思わせます。

第2楽章 嵐のように動いて、非常に激烈に

 低音弦と金管の短い掛け合いの後、ヴァイオリンが第1主題を弾き、まさに指定通りの嵐のような音楽がしばらく続きます。一段落すると第2主題が低音で静かに現れ、以後は第2主題中心に進んでいきます。

第3楽章 スケルツォ: 力強く、速すぎずに

 それまでとは雰囲気が変わり、気分を和らげる楽章です。ホルンの信号で始まって、ワルツ風の音楽が展開されます。曲想は頻繁に変化しますが構成はしっかりしており、冒頭に出た信号が区切りの役目も持っています。

第4楽章 アダージェット: 非常にゆっくりと

 ここで使われる楽器はハープと弦楽器群だけです。他は次の楽章のために力を蓄えておくことになります。
 解りやすいA-B-Aの3部構成で、Bではハープの音は消え、前半がやや激しく、後半は非常に甘い音楽となります。

第5楽章 ロンド-フィナーレ: アレグロ (速く)

 各楽器が会話しているような導入部があり、ホルンから始まる主要主題も木管、弦と引き継がれながら提示されます。全体を通して、ある旋律に同じ旋律をずらして重ねたり、違う旋律を絡ませる作り方(対位法といいます)をされています。


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(C)Shiomabushi
2002-09-20 作成
2003-01-01 更新