演奏時間:約32分 (反復を含む)
モーツァルトの曲は明るいものが多く、短調の作品は数えるほどしかありません。しかし、そのどれもが名作として頻繁に演奏されています。交響曲でも短調は第25番とこの第40番の2曲しかなく、いずれもト短調(G minor)であることから、それぞれ「小ト短調」、「大ト短調」と呼ばれます。
大ト短調・第40番はモーツァルトの作品の中でも特異な部類に入り、後のベートーヴェンなどの音楽を先取りしています。
拍子を刻むようなヴィオラの伴奏の上に、ヴァイオリンが有名な第1主題を出します。繰り返して一旦盛り上がった後、木管が第2主題を出します。
曲はほとんど第1主題を中心に進みます。
この交響曲唯一の長調の楽章です。主に弦楽器が歌い、時々管楽器が彩りを添えます。
メヌエットとは3拍子の舞曲ですが、この楽章は小節をまたがる音が多く、不安感を煽ります。低音部分で3拍子が聴き取れる程度です。
トリオ(中間部)では管楽器が緊張をほぐします。
悲しみとも怒りとも取れる激しいフィナーレ。途中に出る優しげな第2主題もすぐにかき消され、嵐のように終わります。