演奏時間:約37分
この曲は激しく好き嫌いが分かれるかと思われます。事実、シベリウスの最高傑作と評される事がありながら、一般的な人気はありません。しかし、私は好きなのでここに採り上げる次第です。
本来、音楽というものは人の感情やリズム感に働きかけて、それを昂ぶらせたり鎮めたりする役割を持っています。ところがシベリウスの4番には、そういったいわゆる「官能性」があまりありません。人気が薄い理由です。
ただ、私の場合は初めは好きになれなかったものの、何度か聴いていくうちに不思議と離れられなくなっていきました。取っ付きにくい代わりに、慣れてくると飽きが来ない音楽なんですね。
強い音で始まるも、すぐに勢いを失い、揺れるような低音の上にチェロのソロが第1主題を出します。淡々と進んだ後に一旦途切れ、金管の強音で一度は盛り上がります。が、間もなく静かになり、トロンボーンの先導で気だるい感じの第2主題が弦で出されます。
「活発に」の指定はあっても激しい音楽ではなく、木管と弦の対話が柔らかに進んでいきます。
中間部は非常に短く、フルートの二重奏が中心です。
第1楽章以上に淡々と進む、もやのかかったような音楽。楽章の主要主題は、相当進んでから低音弦で出されます。
ここで鉄琴が加わって、表向きは明るく、優しいフィナーレです。しかし、ここでも後半になると徐々に影が差し、最後は弱々しい音の連続で終わります。