演奏時間:約42分(4曲合計)
12曲から成るヴァイオリン協奏曲集「和声と創意への試み」の、第1番から第4番までの各曲に春、夏、秋、冬のタイトルが付けられています。この4曲だけをまとめて「四季」と呼ばれ、親しまれています。
特に日本では、四季の移り変わりに関わりが深いこともあって、絶大な人気があります。ただ、イタリアの気候は日本とはやや異なり、特に夏は突然嵐が吹き荒れることもあるようです。
各曲には「ソネット」と呼ばれる14行の詩が付けられ、音楽と完全に一致してます。詩と音楽のどちらが先に書かれたのか、また、詩は誰が書いたのかは不明です。
演奏上様々な解釈があり、これほど演奏者によって印象が変わる曲も珍しいでしょう。
有名すぎて、紹介の必要もないくらいですが、「好きな曲」の一つとして、入れないわけにはいきません。
以下、独奏ヴァイオリンを「ソロ」と表記します。
春が来た喜びを、明るく快活な主題で表現します。その後、小鳥達のさえずり→泉の流れ→春の嵐→嵐が去って再び歌う小鳥達、と続きます。
ソロが牧場で眠る羊飼いを、ヴァイオリンが木の葉のざわめきを、ヴィオラが番犬の鳴き声を描写します。
羊飼い達がニンフ(妖精)達と一緒に春を祝って踊る、田園舞曲です。
イタリアの夏の変わりやすい気候を描写します。うだるような暑さと思えば、突然の北風が吹いて、農民達を困らせます。
激しい稲妻と雷鳴、更に周りでは蝿の大群が飛んでいます。曲は「羊飼いの不安」と「落雷」が交互に繰り返されます。
曲全体が嵐の描写に終始します。《四季》の中で最も迫力のある楽章です。
収穫を祝う宴が行なわれ、やがて酔いが回って次々と人が眠る様子をユーモラスに描きます。
気候の良さに、人々が眠りに就いています。主要旋律はヴィヴァルディのお気に入りだったようで、他の作品でも使われています。
夜が明け、弾むような主題に乗って、猟犬を引き連れて狩りに出かける人。獲物は徐々に弱っていき、ついに倒れると、狩人達は意気揚々と獲物を持って帰途につきます。
寒くて足踏みをする描写に始まり、冷たい風に震え、最後にはソロによる、歯をガチガチ鳴らす音まで出てきます。
家の炉端でのくつろぎ。外では冷たい雨が優しく降っています。伴奏のピチカートが雨音を表します。
氷の上を時には慎重に、時には荒々しく歩く様子を描きます。
春が近付くことを告げる南風と、まだ冬が終わらないことを主張する北風が入り乱れる様子を描いて、全曲を終わります。