雨の城下町長府

山口県下関市長府

山陰の城下町萩、津和野を旅に埋もれがちな城下町が下関にある。関東の人たちには
ほとんど知られいない通好みの城下町だ。
下関の中心街から国道2号線を小月方面へドライブする。亀山八幡宮、赤間神宮を過ぎ
右手には関門海峡が見える気持ちのいいドライブコースだ。雨に煙る関門橋も絵になる
風景で、カーステレオからは切ない一青ヨウの「もらい泣き」が流れて窓を流れる風景に
妙に溶け込んでいた。
 城下町長府は国道2号線、9号線の分岐点にあたる。交通の要衝でありながら城下町
に一歩足を踏み入れると閑静な町並みで城下町の風情が満ちている。壇具川の侍屋敷
長屋から古江小路へとのんびりと歩きたい町だ。雨の降る土塀の武家屋敷は美しい風景
で、ふと金沢や備中松山(岡山)の風情を思い出していた。
 長州毛利家のわかれとして城下町長府は毛利家5万石。幕末に長州藩で奇兵隊をつくっ
高杉晋作が挙兵した功山寺がある歴史舞台でもあり、馬上姿の高杉晋作像が観光名所
の一つになっている。晋作の活躍の舞台は港町下関だった。
 城下町長府を知ったのは司馬遼太郎「殉死」を高校の頃に読んでからだ。日露戦争であま
りにも有名な乃木希典将軍は長府藩の出身で、本来、軍人や組織に向かなかったにもかか
わらず長州閥の一人として203高地に赴くことになる。江戸屋敷生まれの乃木将軍も、10歳
からの多感な時期を城下町長府で過ごしていて、長府にも乃木神社がある。
 雨の城下町長府を歩きながら、歴史の波に翻弄された高杉晋作、乃木将軍に思いを馳せる
のも楽しい・・・・・。


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長州萩の町を歩く

古江小路の菅家長屋門

彩席・古江小路

城下町らしい落ち着いた雰囲気での
創作料理が楽しめる。昼の献立もコー
スで充実している。
和風料理、老舗、甘味処との出会いは
城下町歩きの楽しみ。

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城下町長府に文政11年(1828)日本画家の巨匠狩野芳崖が生まれている。フェノロサ
に認められて代表作「悲母観音像」を残している。岡倉天心と東京美術学校(現 東京
芸術大学)の創立にかかわる。