No.29 コロナとの戦い15 万全の対策

 6月になりました。緊急事態宣言解除後次第に出歩く人の数が増え、通勤電車に空席がなくなりました。空いた席を見つけて座ろうとすると隣りの人が「チッ」と舌打ちします。せめて一人おきに座れればよいのでしょうが、首都圏は人が多すぎます。距離をとりたくても出来ないのはお互いストレスです。最近減っていた新規感染者数が増加しています。外出自粛で感染者数が抑えられていたことは間違いありませんがずっと自粛も出来ません。痛しかゆしですが、今後しばらくはコロナが近くにいる状態で生活せねばなりません。

 パチンコ屋も堂々と開店し、店の入り口に「コロナ対策は万全です!」と書いてありました 。中に入ろうとは思いませんが、「はて万全の対策とは何だろう?」と不思議な感じになりました。万全とはパーフェクト?台を替わるたびにすぐにパチンコ台と椅子を消毒?パチンコ玉の表面ならコロナウイルスも長生きできるだろうから使うごとにすぐ消毒?など妄想は尽きません。もしそこまでやるなら大変なことですがそれでも安全とは思えない。

 「万全」という言葉を私の辞書で引いてみると「非常に安全なこと。少しも不安のないこと。」と書いてありました。どの程度安全なのかはそれぞれの人の考えにすぎません。今安全を確実に保障できるのは直接間接に感染者と接触がないことだけです。また「万全」という言葉には不安を打ち消す作用もあるようです。不安は人をいらだたせますが、本来危険から遠ざけるために必要なものです。不特定多数の人がいる空間に入ることはそれだけで危険です。「万全」ということは「安全」に似ているけれども違うことは理解しておかねばなりません。

 コロナとの戦いの最前線はコロナ患者を受け入れている病院でしょうが、そこでの感染対策は出来る限りの最高レベルであると思います。それでもクラスターが発生しています。多くの医療者が少しのミスも許されない緊張感と自らも感染するかもしれないという不安の中で戦っています。そんな中で東京の上空を医療従事者を激励するためブルーインパルスが飛行しました。今はほとんどの民間航空機が運航休止となっており、展示飛行が可能だったのでしょう。世田谷区にある自衛隊中央病院でも屋上のヘリポートで多くの医師看護師が空を見上げて歓声を上げていました。自衛隊に限らずほとんどの医療従事者はその使命感で危険な仕事も頑張るでしょうが限界はあります。感謝され激励されることでさらに頑張ることができると思います。世の中は先が見えず暗さが広がりつつありますが、このコロナとの戦いに勝利しないかぎり光はさしません。医療の最前線で戦う戦士たちを応援しましょう。



2020年06月01日