老年医学編「足湯の後の冷水」

 暖冬のはずが一挙に寒くなって冷えの症状を訴える患者さんが増えています。

 外来に脚が痺れるという患者さんが来られました。その症状が出始めた時に手の指先も痺れるようになったとのこと。上半身と下半身同時に症状が出るのは全身の問題のようです。
「お家寒くないですか?」と聞くと本人は寒くないと言っていましたが、一緒に来られた方が「かなり寒いですよ。」やはり寒さを感じにくくなっているようです。「そんな人は足湯するといいですよ。ホームページの後藤先生の部屋にやり方を書いておきました。」と言うと何と「足湯ならやっていますよ。」「え!足湯やっているのに・・・」年も暮になって今年一番の驚きでした。何かおかしい、「お湯から上がったときに冷水を足にかけていますか?」と聞いたら「いいえ、何のことですか?」「それだ!!足湯は身体を温めますが、そのままでは湯冷めします。熱くなると皮膚の血管が広がるでしょう。その状態で冷たいところに戻ると一気に冷えるんですよ。温度差が大きいと早く熱が奪われますから。それを防ぐために上がる時に冷たい水をかけて血管を収縮することが大事なんです。昔はみんなお風呂から上がると足に水をかけていました。今度からそうしてください。それだけで痺れも治るはずです。」

 夏の足湯はそれほど問題ないのですが、寒い冬は温まった足に冷水をかけて血管を収縮させ熱を逃さないことが本当に大事だと教えられました。足湯で身体が温まれば外からくる冷えの症状のほとんどは改善します。中からくる冷えには冷たい飲み物を避けて温かいものをとること、食べ物の養生、漢方薬による治療が必要になります。

 寒い冬季節、先人の知恵を生かした養生で乗り切りましょう。



2023年12月18日