No.3 上手に漢方を利用するために

 この患者さんには効きそうだと思った時は漢方薬による治療を勧めています。整形外科は痛みを扱う診療科と言われますが、痛みにはまだまだ解らないところが多く、何人かの患者さんには満足していただける治療が出来ていません。痛みを和らげる薬も日々新しいものが作られ効果を上げていますが、それでも効かないとか副作用があって薬は使いたくないという患者さんが結構おられます。決め手がない以上患者さんの苦痛を和らげる手段は多い方がよいわけで、一般的な西洋医学の治療に加えて東洋医学つまり漢方薬の治療を行うことで一人でも多くの患者さんに良くなってもらいたいと考えています。


コツ その1 良薬口に苦しといいます

 もともと漢方薬は植物の実や根などを薬缶で煎じて患者さんに飲ませるものでした。専門の薬局では現在でもそのように調合して患者さんに煎じ薬として出していますが、当院で使用している漢方薬は製薬会社が材料を裁断、成分抽出して粉状にしたものです。一般にはエキス剤と呼んでます。従って粉末状になった漢方薬をお椀に入れ、熱湯を注いで煎じ薬のようにしてから飲みます。少しお湯を注いでよく溶かしてから、お湯を薄めて50から100mlくらいのお好みの量で飲み干すのがよいようです。

 苦いから嫌だという人が多いようですが、おばあちゃんも言っています。「良薬口に苦し」と。その薬が身体に合うのであれば苦くても飲んで嫌にならないようです。飲んで飲み続けられれば薬の効果が期待できる可能性があるという印象を持っています。まれには瞑眩(メイゲン)と言ってひどい副作用のような症状を出して元の病気がすっきりと治ることもあるようです。そのようなこともあるので私は効果をみるために短期間、1から2週間漢方を試してみてから続けるのが経済的にも良いと考え勧めています。効くかどうか自分の身体の声を聞いてください。たとえ苦くても身体が必要とするものであれば受け入れることはできるはずだと考えます。

 もし飲んでどうも調子がよくないようなら中止してご相談下さい。


コツその2 食前か食後か迷ったら

 一般的に漢方薬は食前に飲んだ方が効果があります。貴重な食べ物の栄養を吸収するのに他のいろいろなものがあると効果が弱まってしまします。しかし食前に飲むのいっても忘れる人も多いようです。成分として身体に入れば効果をある程度示しますので1日分をたとえ食後になっても飲んだ方が効果があります。


コツその3 飲み合わせと副作用のトラブル防止

 漢方薬は比較的安全な薬です。しかしまれに副作用を起こすことはあります。人が自然界に存在するものにアレルギーを持つことがあるのはソバや卵の例をみてもその通り。漢方薬も例外ではありません。飲んでみて調子が悪ければその薬を飲むのをやめて相談してください。飲み合わせで注意が必要なこともありますので,よく相談して服用を開始しましょう。
2019年09月14日