漢方編その6 痛みは詰まりから

 梅雨明けの後の猛暑がおさまったと思ったら豪雨があちこちで災害を起こしました。雨も終わりそうですが、また猛暑となりそうです。しかし、8月7日は暦で立秋、夏の暑さは峠を越え秋の気配を感じ始める時期です。異常気象で関係ないだろうという人もいるかもしれませんが、基本線はそんなに変わっておらず意外と暦の運行に従って季節は動くものです。お盆に向けて暑い日が続きそうですが、秋の気配も増してくるでしょう。夏バテに漢方ということが定着したのか先回紹介した清暑益気湯が不足気味で手に入らないとのことです。漢方薬は自然の恵みから作られるので有限の資源です。今後も同様のことが懸念されるので大事に正しく使いましょう。

 今回は痛みの話です。私は患者さんの訴える痛みは2種類あると考えています。1つは必ず治療しないといけない痛みであり、もう一つは様子をみても良い痛みです。必ず治療しなければいけない痛みは、例えば癌とか感染症とかが原因で放置すると悪化して、最悪命を落とすことがあります。この痛みを疑う時は全集中で検査して、場合によっては大学病院などに紹介して検査治療をお願いします。とりあえず痛み止めだけくれと言う患者さんもいらっしゃいますが、きちんと診断をつけるようにお話しします。見逃したくはありません。

 一通りお話を伺って診察し検査して明らかな病気がなく様子をみても良さそうだと判断したら、痛み止めのお薬を出して様子をみましょうとお話しします。そこで出てくるのが「では、なぜ痛いのですか?」という質問です。この質問に答えるのは医師の仕事かもしれませんが正直難しい。西洋医学では、うまく説明できません。漢方では、人の身体を回っている「気」の流れが悪くなって詰まるから痛くなると説明します。西洋医学のように数値で示すことも画像をお見せすることもできませんが、漢方薬や鍼灸を使って詰まりを取ると痛みが軽くなります。ではなぜ詰まるのかと質問される方もあるかもしれません。さまざまな原因があるでしょうが、まず考えなければならないのは便秘です。食べたものがスムーズに流れないと詰まりの原因となります。実際便秘が治ったら痛みが無くなったという話はよく聞きます。その他最近は運動不足、睡眠不足、甘いものの摂りすぎ、ストレスの考えすぎなどさまざまな原因で詰まりが出るようです。患者さんの生活を詳細にうかがってこうしてはいかがですかと提案します。ぴたりと当たると痛みが無くなるので、うまくいったらとても楽しいのですがそういうことは多くはありません。現代社会は複雑なので痛みの原因、詰まりの原因も単純ではないのでしょう。その時はリハビリをやったり、お薬を使ったり、運動をしてもらったり、気長に患者さんに寄り添って痛みを少しずつ軽くするように治療します。今回知ってほしいのは、生活習慣を変えるだけで軽くなる痛みがあるということです。

 コロナ患者は急増していますが、重症化は少ないようです。しかし、感染防止のために出勤停止になって社会生活に支障が出てきました。症状が軽くてマスクしていれば感染リスクが低いならば働いてもよいようにする時期かもしれません。本当に守らなければならないものを守り、守る必要性の低いものは守らないというルールの変更があってもよいのではと思います。

 ウクライナは原発がロケットで攻撃されるという恐ろしいことになっています。ロシアが占領して地雷などを仕掛けているという話もあり危険極まりない。元々原発は少しのテロには強いように設計されているはずですが、中から壊そうとすれば福島の経験から可能です。冷やせなくなれば必ず爆発します。そして放射能汚染が広がります。そうなって相手が悪いと非難してもどうなるのか。肥沃な大地が広大な放射能汚染地域となって残るでしょう。その時戦争は終わるのか?大きな代償を払って人類は平和になれるのか?

 一つ言えるのは原発で大事故が起きればその時は日本の出番であるということです。福島原発は不幸な事故でしたが、経験は生かされなければなりません。


2022年08月16日