No.33 痛みはゆがみから

 コロナとの戦いはまだしばらく続きそうですが、熱心な読者から毎回同じようなことの繰り返しだとの指摘を受けました。もっと整形外科にふさわしい話を読みたい、とのことなので、このタイトルになりました。以前といっても3月ですが、「痛みはゆるみから」ということで書いてその際序文で中国のコロナについて初めに触れてそれからコロナとの戦いシリーズに突入しました。

 もとに戻って今回はゆがみの話です。身体にゆがみがあると痛みが出ます。ゆがみというのを辞書で引いてみると「ねじれ、曲がり、ひずむこと」と書いてあります。一番多いのは背骨で、側弯と言っていますが背骨が曲がっていると痛みを訴える人がいます。背骨は積み木のような円柱形の椎体と呼ばれる骨が首は7個、胸は12個、腰は5個重なったものです。そのため前後左右に曲がり、その上回旋できるようになっています。ですから曲がりねじれることは正常のことなのでそのことで痛みは出ません。椎体に均等に力がかかれば筋肉はあまり使われず痛みは出ません。しかし背骨が曲がったりねじれていると、頭を同じところに維持するために筋肉が緊張して疲労し痛みが出ます。長期にそのような状態が続くと骨自体に強く力がかかるところができて間の軟骨がすり減り、変形を起こしてそのことでまた痛くなることがあります。脊柱の側弯が強くなると、痛みばかりでなく呼吸なども問題となるので手術で矯正することが必要となることもあります。膝も同様で日本人はO脚の人が多いので、内側の膝関節に体重がかかるので内側の変形性膝関節症になります。このようにゆがみは痛みの原因になるので直せるならば直したほうがよい。子供の側弯も早いうちに発見して将来痛みのない腰で生活できるよう日常の生活を正すことが大事です。しかし私自身首が傾く癖がありますが、直そうとしても容易ではありません。将来痛みが出ないよう首の位置に常に注意するとともに首の運動をして柔軟性を保ち老後に備えています。ゆがみがあっても固定しないように身体の柔軟性と姿勢の維持を意識することで痛みは防げると期待します。

 ゆがみは心にもあるようで辞書では「心の正しくないこと。よこしま」ということも書いてありました。今回は善悪の問題ではなく、心が気持ちのよい状態でいられないと痛みが出ると考えることができます。実際不快なストレスは痛みの原因になります。慢性の痛みはいろいろな原因から来ていますので、ストレスの発散や痛みから離れる状態をつくるすることで軽くすることが出来る可能性があります。



2020年07月25日