No.19 コロナとの戦い5 コロナとペスト

 今日は4月18日とうとうと言うよりやはりと言うべきでしょうが国内の感染者が1万人を超えました。今日は月1回の漢方の専門外来のため出勤したのですが、まるで台風のような大嵐でずぶ濡れになりました。当然患者さんもキャンセルが多かったのですが、コロナの影響で気持ちが落ち着かない人が多いようです。

 「ニュースは一日1回見れば十分です。」「ストレス発散のためにも身体を動かしましょう。」「甘いもの食べすぎると胃の機能が悪くなって体調壊しますよ。」と生活の指導をしたのですが、中に一人全く体調の良い人もいました。「コロナのこと気になりませんか?」「いや、なるようになるし、もう人生でやることはやりましたから。」さすが!地震の時もそうでしたが、危機的状況でうろたえる人もいますが、逆にどんとこいという人も確かにいます。不安は安心したいという期待から生まれます。どうにでもなれと開き直るのが不安にならないコツです。

 先だってNHKの100分で名著でも紹介されたのでご存知の方も多いと思いますがノーベル賞作家のカミュが書いたペストという小説があります。私は大学に入ってすぐ読んだのですが、疫病が流行って街が封鎖されているのに、人々がわりと平然としているのを不思議に思ったものです。その中で神父さんが「これは神の罰が下ったのだ。」という話があります。

 ペストはペスト菌という細菌の感染症であり、コロナはウイルスの感染症で違うものですが、流行して多くの人が死ぬので非常に恐れられていました。欧州で何度か大きな流行があったので、感染を拡げないために街を封鎖して外に拡げない対策がとられるようになったのでしょう。

 今回のコロナは日本での患者数の増加が続いており、かつてペストを経験した諸外国からもっと厳しい外出制限が必要ではと指摘されています。このまま状況が悪化すれば不安から理由を求めたがる心理につけ込んで「神の罰だ」という人も現れるかもしれません。何か悪いことをしたのかといえば、武漢で新型肺炎が問題になっていた時に中国は大変だなと他人事で、自分に降りかかる問題と考えなかったことです。その後クルーズ船が大問題となり対策が難しいことはわかったのに、その教訓から得られる対策が不十分で現在の苦戦を招いています。悪いことをして神の罰が下ったというよりやるべきことをやらなかったツケがまわってきたということでしょう。

 現在敵の侵攻速度が速くて被害が拡大していますが、まだ敗北したわけではありません。しかしぼちぼち防御態勢を整えて迎え撃たないと総崩れということになります。今の戦場は病院です。コロナに勝つために出来る限りの力を結集しましょう。


2020年04月20日