No.51 コロナとの戦い36  日常は戻るか?

 8月は非常に厳しい戦いが続いていましたが、9月になって突然コロナ患者が減少して、日常の生活が戻りつつあります。

 患者が減少した理由は色々と言われていますが、1番はワクチンの接種が進んだことだと思います。1人感染しても周りの人がワクチンを打っていれば感染は広がりません。ワクチン集団接種の予診の仕事もやりましたが、摂取会場の熱気は凄まじいものがありました。問診を丁寧に行おうとすると事務の人が「先生、外でたくさん待ってるんです。もう少し手早くできませんか。」とプレッシャーをかけてきます。中に1回目のワクチン接種で強い副反応が出た人がいて、全身の皮膚が赤くなって剥がれてしまったと言っていましたので「2回目はもっと強い反応が出るかもしれないので見合わせた方が良いのではないでしょうか?」と言ったところ、「このウィルスとの戦いは、人類の存亡をかけたものです。家族もいるのでワクチンを打ってください。」と懇願されました。仕方なく、もし副反応が出たら速やかに病院に行くようにと言って許可しました。その人が出て行ったすぐ後にまた事務の人が来て「先生、早くしてください!」松田整形外科の外来も忙しい方だと思いますが、ここに比べれば大した事は無いかと思いました。ワクチン接種を進めた政治家の功績もあるでしょうが、一番は何とかコロナに勝とうという国民の頑張りであったと思います。

 まだ安心はできませんが、今回は日常診療のお話をします。外来にはたくさんの方が骨粗しょう症の治療で通ってこられます。先だって他の病院できちんと骨粗しょう症の治療を受けていたのに圧迫骨折した患者さんが来られました。骨密度を測ってもらったのですが正常でした。不思議なこともあるものだと、患者さんに話を詳しく伺いましたがなぜ骨折を繰り返すのか分かりません。理由がわからないとまた骨折してしまいます。私が師事していた先生は遺伝性の骨の疾患の専門でしたので、「もしかして、ご家族に骨折しやすい人はいませんか?」と聞いたところ「いえ、家族に骨の病気はいません。」「骨の病気はない、では何の病気があるのでしょうか。」「肺の病気です。肺気腫とか」「え、肺気腫!ではタバコを吸うのですね。」「ええ、吸っています。」「それだ!喫煙は骨折しやすくなるんですよ。原因がわかりました。タバコをやめましょう。」と鬼の首でも取ったように、喜んで言ったら、「タバコはやめられません。」とのこと。しばらく押し問答が続きましたが、ひとまず時間をかけて禁煙を考えてもらうことにしました。理由は一つではないのですが、タバコを吸うと骨粗しょう症になりますし、骨折もしやすくなります。整形外科の手術の前にまず禁煙しましょうと言うのは、手術後に骨が治りにくいためです。タバコを吸っても良い事はありません。タバコをやめればいいことばかりです。やめられないと思わせているのはタバコに含まれている依存性の強い成分です。脳をタバコから解放して健康になりましょう。


2021年10月25日