No.21 コロナとの戦い7 2つの3密

 今日は4月24日です。著名人が次々と亡くなられて医療に関係ない人にもコロナが他人事ではなく間近に迫った脅威であると思えることでしょう。コロナとの戦いは全ての人がいやおうなく巻き込まれる戦いです。私は自衛隊にいたので申し上げますが、全員がしっかり装備をつけて、必要な訓練を行って日々の生活を送れば必ず勝利します。

 慶応大学病院からコロナの症状が何もない人にコロナの検査をしたら6%が陽性であったと発表がありました。すでに6%!恐るべき侵攻速度で敵は迫っています。松田整形は毎日100人以上外来に患者さんが来られますが、その中の6人がコロナの検査をすれば陽性つまり感染力があるかもしれないということになります。外来でも少し患者さんの椅子を離して置いていますが、よく聞こえないと椅子を近づけて来たり、「何と書いてあるのですか。」と電子カルテをのぞき込んで顔を近づける患者さんがあると、思わず後ろに下がってしまいます。最近感染症の専門病院でも院内感染が多発しており、マスクなど装備だけでは完全ということはありません。緊急事態宣言から2週以上経ちましたが、当分はこの緊張状態が続きそうです。

 密閉、密集、密着の三密が感染を拡げるとのことで政府が繰り返し外出の自粛を呼びかけています。東京の繁華街はまるでゴーストタウンですが、近所のスーパーや公園はかえって人が多くなっています。自宅で仕事をと言われても、平日の通勤時間の混雑はソーシャルデイスタンスをとれるまでにはなっていません。考えてみると現在の都市生活は三密そのものです。田舎から人が集まって密集し、狭いところに大勢いるから密着せざるをえません。おまけに住まいは密閉の部屋ですきま風とは無縁です。まさにコロナの絶好の標的だったということでしょう。都市生活は便利ではありましたが、インターネットの発達した現在田舎でもそんなに困らなくなりました。地震や台風などの災害時に避難所に入りきれないという過密状態は危ういのでこの機会に生き方を根本的に考え直す方がよいかもしれません。

 ところで三密というのはもともと密教の用語です。身密、口密、意密ですが、これについて私の漢方の師匠であり自ら修験道で修行している先生によれば今こそこの三密を実践しなければならいとのことです。まず身密、病気への抵抗力をつけておくために体調を整えねばならない。暴飲暴食を避け、規則正しく消化の良いものを食べて、その上で身体を緩まないように運動をして引き締める。次に口密、不安や不平、八つ当たりなどを口に出さず周りに波風を立てない。これはSNSへの投稿を控えるということにもなりそうです。コロナ対策でいえばおしゃべりしないということにも通じるかもしれません。最後に意密、先の見えない状況ですが、いろいろ妄想を浮かべずにただ穏やかな気持ちでいること、止観といって静かにとどまって物事をありのままに見ること。その意味で私は不安をあおるバラエティを見ないようにして心の平安を保つことが大事だと思います。

 人類が直面する災厄は今回が初めてではありません。祖先は災厄を乗り切る知恵を様々な教えとして残してくれいると思います。心を落ちつけて祖先からの知恵に学び穏やかに、しかし抜かりなく暮らしましょう。


2020年04月24日