老年医学編「老人とハエ」
仕事から帰ると奥さんが開口一番「ハエが入ってきて今日一日中格闘しているけど逃げられているの。何とかして。」奥さんは都会の人ですが、私は田舎で育って家で牛を飼っていたので、小さい時からハエが飛び回っていました。「任せろ。こう見えても中学時代は剣道をやっていた。すぐに成敗してくれよう。」と新聞紙を丸めて竹刀にみたてて敵の在処を探しました。見ると天井にとまって休んでいます。「ふん、この家に来たのが運の尽きだな。覚悟しろ。」と心で思ってバシッと叩いたら、するりの逃げられました。「そうなの。さっきからその調子で逃げられて1時間も格闘しているの。」とのこと。思ったより手強い相手で、それからしばらくバシッ、ありゃりゃの繰り返しで「完全に遊ばれているわね。」加齢とともに筋肉の中の速筋が衰えます。ゲームもスピード勝負では勝てなくなりました。そして奥さんから「そこにいるじゃない!見えないの!」と言われて目も悪い。レーダーの性能も悪く射撃計算の精度が下がりミサイルも遅いのでは飛んでくるドローンは落とせません。途方に暮れていると、ハエがお菓子の紙袋の縁にとまったので、わざと上を横切るように紙の竹刀を振ると案の定ハエは袋の中に逃げ込みました。敏捷性は劣っても老人には経験からくる知恵があります。すぐに袋を閉じて「手を焼かせたな。奮闘に免じて命だけは助けてやろう。二度とこの家に来るなよ。」と言って外で袋を開けると、あれ?いない??どこだ?ほどなく家の中から「こっちにいるわよ!」まことに手強い。スプレーで狙えばいいのでしょうが、別に刺すわけでもなし、そこまでしなくても。以前モザンビークPKOに行った後輩から「ハエがスープ皿に浮かんでスープが見えなくなるんです。仕方ないのでスプーンでハエをよけてハエのいないところからスープを飲んでいました」と言っていたことを思い出していると、何とハエが網戸にとまっているではありませんか。気づかれないようにそっとガラス戸を閉めて無事任務完了、敵を駆逐しました。めでたしめでたし。
特別暑かった夏もようやく終わり秋の気配が感じられるようになりました。セミはいなくなり、トンボを見かけるようになりました。暑いと外に出られなかったでしょうが、これからは外でも運動して弱った筋肉を鍛え直しましょう。
特別暑かった夏もようやく終わり秋の気配が感じられるようになりました。セミはいなくなり、トンボを見かけるようになりました。暑いと外に出られなかったでしょうが、これからは外でも運動して弱った筋肉を鍛え直しましょう。