No.10 安全なスクワット

 日本選手の大活躍のうちにピョンチャンオリンピックが終わりました。皆様の応援が通じたのか女子のカーリングも奇跡的に銅メダルを取って万々歳です。オリンピックが始まって最初のころデコボコの斜面を滑り降りて途中で宙返りするというモーグルというスキー競技があり、あんなに膝がガクガク動いたら痛くならないものかなと不思議に思ったものです。じっとテレビの画面を観察すると膝から上はガンガン飛び跳ねているのにスキーから膝まではまったく同じ姿勢で動いていません。その時ヒラメキました。スクワットをやるときに膝を前に出すなと必ず言いますが

実はこれだったのだ!

 日本整形外科学会では運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を「ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」と定めました。ロコモを予防するためにロコトレとして「片脚立ち」と「スクワット」を学会として推奨しており、テレビなどで見てやっている人もたくさんいると思いますが問題があります。スクワットをやって膝を悪くする人がいて、当院では変形性膝関節症の患者さんにはスクワットはするな、筋トレするなら体重をかけないで四頭筋訓練をしなさいと指導しています。スクワットは予防のための運動であり明らかな病気の人はできればリハビリに通って正しい筋トレをすべきです。

 では将来病気にならないための安全なスクワットの運動はどうやるか。膝を前に出すといけないのはなぜか。そこでオリンピック選手がヒントをくれました。

 立ち上がる時に理論上少しでも膝が前に動くと関節の靭帯や軟骨に無理な力が加わり関節を傷めます。そこで地面につけた足から膝関節までは動かないようにふんばって固定して膝の位置を動かさないようにして膝から上で立ち上がれば関節は保護されて傷まない、ちょうど固いビンの蓋を開けるのに指で回そうとすると痛くなりますがギュッと指でつかんで腕の力で開けると痛くないのと同じです。これからスクワットをする人はその点に注意して行ってください。そうやってスクワットをやるとそれはお尻の運動のように見えます。正しいスクワットは膝の運動ではなくお尻の運動なのかもしれません。
2019年09月19日