東洋医学編 「春になりました」

 歳をとると、何事も億劫になるもので、あっという間に春になってしまいました。
先だって患者さんから「後藤先生の部屋読んでます。漢方で免疫はどうなってますか。」という質問がありました。

 コロナもあり免疫が話題になっています。私は「免疫は体力です!」と応えましたが説明が短すぎました。

 人間の歴史は感染症との戦いの歴史でもあります。有名な漢方の古典である傷寒論(しょうかんろん)は二千年くらい前に書かれました。その頃、傷寒という疫病が流行って一族の大勢が亡くなったのでどうしたら疫病にかかっても死なずにいられるかということを張仲景(ちょうちゅうけい)という人が記録したものです。病気の原因が何か全くわからない時代に病気にかかった患者を詳しく観察してこの症状にはこの薬が良いという膨大なデーターを整理しました。その治療理論は今でも応用可能です。

 当時は病気を起こす邪気(じゃき)が病気を治す正気(せいき)と戦って病気になると考えられていました。従って今言うところの免疫は正気ということになります。正気は何かといえば、病気に対する抵抗力、回復力の全てであり、生き残ろうとする生命機能の総称ということになり、現代でいえば体力ということです。長々と説明すれば複雑でわからなくなるので簡単に説明しようとすれば体力なのです。質問がありましたらまた聞いてください。次回作への励みになります。

 先回のインドのお話が好評だったようで、また書いてくださいとのご要望もいただきました。他に「先生は何時に起きますか?」との質問をいただきました。その時は「今、日の出が7時ですから5時半ですかね。」と答えたのですか、日一日と日の出が早くなっており5時半ではすでに遅かったようです。冬はいいのですが、どんどん日の出が早くなって6月には4時半ぐらいになるので、その96分前といえば3時前に起きなければいけません。楽しいよな、そうでもないような。落ちついて考えればここはインドではなく日本です。日本には春眠暁を覚えずという言葉があります。春は眠いのが自然です。無理せず時と場合に合わせて生活するのが生きる知恵だと思っています。

 長く続いたコロナの流行もようやく収束しつつあります。通勤電車ではマスクを外す人も見かけますが、病院では感染すると重症化する人もおられますので、引き続きマスクの着用をお願いします。いよいよポストコロナの始まりです。春も来ました。新しい気持ちでスタートしましょう




2023年03月28日