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  日本人学校は小中合わせて児童生徒数400人余り、私は教師生活で初めて小学3年生を教えることになりました。覚悟を決めて教室に向かいます。私の心臓は新任教師のように高鳴り、教室に入りました。いきなり生徒、じゃなかった児童が「あっ先生目が細い。」なんて言われます。一瞬むっとしましたが気を取り直し、挨拶をします。「先生おはようございます、みなさんおはようございます」あれー、やはり中学生とはちがうなあ。椅子や机がやけに小さく、ガリバーになった気分。ドラエモン(中国語で放映)やセーラムーン(タガログ語で放映)の話をして雰囲気をやわらげます。そのクラスの約半分は混血児で、中国系フィリピン人の女の子はお母さんとは中国語、お父さんとは日本語、メイドさんとはタガログ語か英語で話します。小3で実に四カ国語が話せるのです。休み時間には元気よくタガログ語で友だちと遊んでいます。さて、授業に入り実験をやると目を輝かせてきます。ようし今年は実験を多くしていこうと内心思います。実験の最中、私が気づかずに操作を間違ってしまいました。「はい」と女の子。「なあに」「先生、そのやり方は本で見たのと違っています。」点検してみるとやはり間違っています。うわー、小3にしてやられた。がっくり肩をおとして教室を出ました。小3は疑問や感じ方が直接的でとても新鮮なんだと初めて知り、教師として襟を正した一日でした。

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中学教師の私が初めて小学生に教える