気道内異物の事故に対しては、身近にいる人が直ちに手当をしなければなりません。気道内異物による窒息事故の多くは、物を口に入れやすい乳幼児や喉の反射の鈍った高齢者に起こっています。物を口に含んでいるとき、突然苦しみ出して呼吸ができなくなった場合や、呼吸の停止している者に人工呼吸を行っても抵抗が大きく、空気が入らない場合は気道内に異物があることを疑う必要があります。
1 気道内異物の除去方法(固形物あるいは固形に近いもの) ☆傷病者に意識がある場合
傷病者の頭をできるだけ低くしておき、胸を一方の手で支え他方の手で左右の肩甲骨の間を続けてたたきます。
傷病者を後から抱くような形で腕を組み合わせ、傷病者の上腹部及び下部胸壁を瞬間的に強く引き絞ります。
上向きの傷病者では側胸部下方に両手を置き、胸郭を急に強く絞るように圧力を加えます。
下向きの傷病者の場合も同様に背部下方に手を置き、胸郭を急に強く引き絞ります。
一方の手の指を口の中に入れ、下顎を引き上げ、他方の手の人差し指を頬の内側に沿ってのどの奥に差し入れ、指先を曲げて引っかけるか、指2本で挟んで取り出します。かき出す場合には、傷病者を横向きにしてください。
※この方法は異物を喉の奥に押し込んでしまう危険性がありますので、異物が見えない場合は無理に指を入れてはいけません。
乳児・幼児の場合
基本的には成人の場合と同じ要領で行います。 ☆乳児の場合
救助者は、自分の中指か人さし指を乳児の口の中に入れて舌を押さえ、前腕にまたがらせ下向きにして頭を低くし、軽く握ったもう一方の手を柔らかい部分で、左右肩甲骨の間をたたきます。
すばやく抱き抱えるか大腿部で支え、頭を低くして平手で背中をたたくか、寝かせて胸腹部に圧迫を加えます。いずれも、力を加減して行うことが大切です。