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向山型社会科の基礎基本10

愛知県(知立市立来迎寺小学校)/翠 泰由

1 向山型社会科の構造(ツbQ20P32)
考える足場を組む→討論
 授業や単元の前半部分で,後の討論に必要な情報を蓄積させておく。そして,子どもたち全員が,自分の論を組み立てることができるだけの情報が蓄積できたところで,討論へと持ち込む。
                                      
2 「再現する学習」(原P128)
 ○ 「再現する」とは,ある方向の情報を選択しもう一度示すことである。見学する,観察するとは情報を蓄積することであり,調査するとは,ある方向の情報を見つけることである。
 ○ つまり,「再現する学習」とは,「情報の収集・選択・整理の学習」と考えることができる。

3 歴史授業
(1)歴史を学ぶ意味(事P22)
 日本のこれまでの移り変わりを正しくとらえ,現在の様相を理解し,よりよい未来を作っていくために「歴史教育」は必要とされる。
(2)教師の基本的スタンス(事P22)
 ○ 事実を事実としてとらえ,つかまえる。事実認識を育てることは,大切な歴史教育の中心である。
 ○ 「事実」を前向きに,前進的にとらえるように育てる。
(3)向山式歴史学習指導法(全P24)
《戦国時代の学習》
@ 前の時代の特徴をひとことで言いなさい。(例)御恩と奉公
A 今の時代の特徴をひとことで言いなさい。(例)下克上
B この時代を代表する人を1人選びなさい。(例)豊臣秀吉
C この人は時代をどのように生きようとしましたか。できるだけ簡単に述べなさい。(例)戦いの中で生きて,天下統一しようとした。
D Cを証明するできごと,エピソードを5つ述べなさい。
  調査(個人)→班ごとに表にする。(K・J法)
  ↓
  最も特徴的なことを1つ選ぶ。
  ↓
  発表する。
  ↓
  他の班との違いを討論する。
E この時代について,誰か1人を選んでその人を通して説明しなさい。
 《エッセンス》(ツbP84P22)
  ・ 人物を中心にすえた歴史学習である。
  ・ 子どもたちの活動を中心にすえた指導法である。
  ・ 資料をもとに考えさせる指導法である。
  ・ ほとんど,どの時代にでも使える指導法である。

4 向山式写真資料指導法(事P62・69)
@ 「写真を見て分かったこと,思ったことをノートに書きなさい」
 ・ ノートに箇条書きさせる。
 ・ 途中でいくつ書けたかをたずねる。
 ・ 書く時間を5分待つ。
A 発表させ,まとめる。
 ・ 少々,強引さがあってもいいが,自分の考えていた分類だけにしぼるのはよくない。
 ・ 必ず「その他」の分類を入れる。
 ・ 意見のかたよりに対して修正を加える。
B 本時のねらい(観点)を示した発問をする。
C 調査活動をする。
D 子どもの発表を分類してまとめる。
E 討論をする。

5 向山式ノート指導
(1)日常的指導(事P81)
 ○ 「ノートに正しい答えを書く欄をつくっておきなさい。四角く,大きくノートに書いてください」
 ○ 「どんなことを調べたらいいか,ノートに書きなさい。番号,1,2,3,4……と書いてから」
(2)単元のまとめ(事P72)
@ 1単元を見開き2ページでまとめさせる(見開き2ページに限定する)。
A 教科書・資料集のまるうつしは認めない。
B イラスト・図解をすすめる。
C ノートづくりの時間を与える。
D 見開き2ページごとに評価する。評価は「合格」のみ。ランクはつけない。不合格は「修正する」「やり直す」ようにすすめる。合格の基準はゆるめない。
E 特に立派なノートは全員に紹介する。

6 発問と指示
(1)発問の法則(事P47)
 ○ 発問は,知覚語で問え。(例)「バスの運転手さんは何を見ていますか」
 ○ 発問は,選択させる言葉で問え。(例)「車掌の笛は誰に聞かせていますか」
 ○ 発問は,発見させる言語で問え。(例)「この写真を見てわかることを,すべてノートに書きなさい」
(2)よく使われる指示(事P49・52・73)
 ○ 「大阪市に人さし指をあてなさい」「となりの人とくらべてごらんなさい」
 ○ 「全員起立。読み終わった者からすわりなさい」
 ○ 「これを見て気がついたことを1つだけ黒板に書きなさい」「違う意見があったら前に出て書きなさい」
 ○ (見学の事前指導の際)「目についたことを全部記録するようにしなさい」

7 調べる(事P65・67・83)
 ○ 教師は,どう調べたらいいのか,具体的に教えなくてはならない。
 ○ 社会科資料の3点セットは毎回教える。@表題は何か。A年度は何か。B出典がどこか。(グラフの場合)縦軸が何で,横軸が何か。
 ○ 作業に対しても評価をすることが求められる。視点は3つである。@ていねいにやる。A続けてやる。B終わりまでやる。

8 討 論(事P52・56・58・60)
 ○ 板書はしない。発表については,させる場合もある。
 ○ 討論の指導には「指名なし朗読」「指名なし発表」「指名なし討論」という3段階が必要である。
 ○ 討論では,対する2つの意見にしぼり込んでやるべきである。
 ○ 引っ込み思案の子に対する方策を1つだけあげるとすれば,それは《ほめること》である。

9 その他(事P75・85)
 ○ 「資料を提示して表題等を確認する,意見をノートに書かせる,時間を5分程度与える,グラフならまず10名程度を指名する」これらができれば教師の腕としては黒帯なのである。(向山氏)
 ○ 「教材研究をしなさい。教材研究とは,物を用意することです」(大森氏)

10 向山型社会科チェックシート

【参考文献】
ツ:『教室ツーウェイ』明治図書
原:『「再現する学習」で創る向山式社会科授業』向山洋一教育実践原理原則研究会著/明治図書
事:『向山型社会科授業づくりQ&A小事典』向山洋一・吉田高志編/明治図書
全:『教え方のプロ・向山洋一全集7』向山洋一著/明治図書


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