大湊線の有戸は野辺地湾が近くにあるせいか、強烈な風が吹きすさぶ駅である。ホームの先端には風に注意するようにといった面持ちの標識が設置しており、大湊方面を望むと風力発電の風車が建てられており、いかに風が良く吹く場所であるということが想像できる。

 大湊方面に向かって右側が主に畑地だが、ホームの出入口周辺にまとまった集落が形成されている。ここから隣の吹越までの駅間距離は13.4kmと離れているが、季節になるとハマナスの花が咲く海岸線沿いを走りぬける、大湊線内では最もおすすめのビューポイントだ。

 この有戸は朝の2往復の列車が発車した後は5時間近くも列車が停まらない空白の時間帯が存在する。しかし近くには国道が通っており、この国道を走るバスが1日16往復、日中は等間隔にやって来る。地元の方にとっては停車する列車の本数が少なくても、バスがあるから大丈夫だと印象を受けた。

 海に近い駅ではあるが、残念ながらあまり海は見えない。集落に海風を直に当てないために、丘が盛られたり、木の壁が設置されているからだ。また周囲の民家も各自で防風の壁を設置して、少しでも家に風が当たらずに快適に暮らそうという想いが伝わってくる。

 駅から国道に出て、大湊方面に向かってほんの少しだけ歩いていたら、廃校になった小学校を見つけた。建物はそっくりそのまま残っていて、敷地の一部に町の学習等教養センターがある。有戸周辺の小学生はこの小学校跡地から発着するスクールバスに乗って学校に向かうのだが、廃校になった学校を見るとこの辺りに住んでいる子供の数が少なくなっているのかも知れない。

 もう開くことのない校舎をガラス越しからのぞいて見ると、トロフィーや賞状の数々が飾られていたり、廊下には児童の課外活動の写真などが掲示されたまま残っていた。写真の中の児童は、自分の母校の一つが思い出だけになってしまったことを考えると何だか切なくなった。

                                                                (2007.2.10)
有戸の駅名標


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有戸のホームとその周囲の風景
有戸のホーム
有戸の駅入口と待合室
Arito
有戸