船尾は2階建ての駅舎だが構造が少し変わっている。それはホームが駅入口よりも少し高台にあるためにホームに上がるには階段を上ることになる。この船尾に駅員がいた時は1階できっぷの販売、2階で改札を行うという役割がきちんと分担されていた。

 ホームからは石灰石の鉱山があり、山が削られて白い岩肌がむき出しになっているのが良く分かる。階段を下りて駅前の道路に出るとその鉱山を所有するセメント会社がある。

 元々船尾は石灰石の積み出し駅として機能していたが筑豊地方の列車による石炭の輸送が消えるとその後を追うようにして石灰石輸送も廃止されてしまった。

 船尾の駅構内および駅周辺を見てみると真っ白けで駅に降りたとき粉っぽい匂いがする。おそらくホームから見える鉱山から石灰石を採る為に山を削り、その時の粉が風で飛ばされて船尾の駅周辺を白くしてしまったのだろう。駅員がいた時はこまめに掃除する事が出来ただろうが無人となった今ではだれもきれいにするのもおらずにただ白くなるばかりである。ホームにベンチがあるがとても座って列車を待とうとは誰も思わないであろう。

 船尾の1階にあるかつてのきっぷ売り場の窓口を覗いてみるとかつての職員が使用していたと思われる道具が散らばっていた。同時にそんな道具も石灰石の白い粉をかぶっていて石灰石の粉が駅の中にまで充満していた。2階のホーム部分は窓の所は板で塞がれており、かつての改札の窓口に船尾の列車の発車時刻が記されている。

 そんな窓を塞ぐ板の一部には地元の小学生による創作絵画が描かれ、まるでくたびれた大地の中に咲いたヒマワリの様に明るくて無邪気な印象を受けた。そんな絵を描いた子供たちはすでに小学校を卒業してしまっているが船尾を愛する気持ちはいつまでも変わらないでいて欲しいと思った。

                                                                 (2004.3.28)
船尾のホーム


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船尾の駅のベンチ
船尾のホームから見える鉱山
船尾の駅舎
Funao
船尾