車掌者を改造した待合室がポツンと建つ小さな駅、五十石。駅名は川湯温泉の硫黄山(アトサヌプリ)で産出された硫黄を運搬するための五十石船がここまで遡って来たことに由来する。

 五十石の駅周辺で人が住んでいるのが確認できる民家は裏手にある牧場主の民家1軒のみで、駅前に温泉もあるレストランの建物があるが、すでに閉店しているようだった。駐車場だった広場は転回に利用したと思われるようなタ

イヤの痕跡がいくつも残っている。また駅前の国道の路上には「シカ注意」と表示されている。北海道でもとりわけシカが線路内をうろつく釧網本線、近くの道路でも同じことが言えるようだ。

 五十石の待合室の中で列車を待っていたら、パトカーが立ち寄ってきて、警官に軽く持ち物をチェックされるハプニングが起きた。理由は廃止が予定されている駅の備品が盗難に遭うという、前々から話に聞いていた事件によるものだ。

 五十石も利用客がほとんどいない理由で2017年春のダイヤ改正で廃止されてしまう駅である。この五十石に限らずにどの駅においても離れるときには下車した時のきれいな状態を保持して、写真で思い出に耽ってほしいの気持ちは昔も今も変わらない。

                                                          (2016.12.3)

2017年に廃止が決まった五十石。こうして見ると消えて無くなると自然に還ってしまう雰囲気である。
貨車を改造した待合室を持つ五十石。
Gojikkoku


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日没前の五十石の風景。かつては温泉もあるレストランが駅前にあったがすでに閉店して人も去ったようだった。
五十石のホーム。周辺に住んでいるのは牧場主くらいで駅前の国道は無情にも高速で車が通過して行く。
五十石