岩手県の県庁所在地で県内一のターミナル駅、盛岡を起点とする山田線は、盛岡の中心部を避けるように迂回をして線内最初の駅、上盛岡に到着する。

 棒線駅の上盛岡の間には3つのマンションが立ち並び、「びゅう」「レールシティ」といった如何にも鉄道に関係するような名前が含まれている。

 上盛岡の駅の近くにはかつて専売公社の工場があり、ここから貨物用の引き込み線が伸びていた、いわゆる一般駅という歴史を持つ駅だった。しかし1980年代に入って貨物や荷物の取り扱いが廃止されると交換設備も無くなり、上盛岡直属だった駅員も盛岡からの派遣という形に変更された。

 上盛岡が1998年4月に完全に無人化された後、その年内に小さな駅舎に建て替えられて現在に至っている。上盛岡の貨物取り扱いを支えていた専売公社はJTとなるも、2010年に工場が閉鎖されてしまい、その跡地に建てられた病院はホームからも良く見える。

 盛岡から徒歩で行けば、市街地を通り抜けて、ものの20分くらいでたどり着くことができるが、そんな街中に近い上盛岡には駅ノートが設置されていて、駅舎内の待合室にはノートの間では有名な絵師の方のイラストが額に入れて飾られていて、きっちりと管理されている点が素晴らしい。

 列車の本数が非常に少ない超ローカル線で知られる山田線ではあるが、平日朝7時台の盛岡行きの列車には通勤・通学客が意外と多く乗っている。

                                                        (2022.2.22)

上盛岡のホーム全景。盛岡の市街地付近ということもあり、利用者もそれなりにいる。
上盛岡の駅ノート。ノートの間では有名な絵師さんの絵が額に入れて飾られている。
Kami-Morioka
上盛岡のホーム。林立しているマンションはいかにも上盛岡の元駅構内に建てたという感じである。
上盛岡
上盛岡の駅舎。マンションに囲まれて居心地が悪そうな佇まいをしている。


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かつて専売公社へと続く引き込み線があったと思われる場所。専売公社はJTと名前が変わったが、そのJTの閉鎖後に建てられた病院が上盛岡のホームから見える。