身延線内では最長の勝坂トンネルを抜けて、車窓から峡南高校の校舎が見えて間もないうちに到着するのが久那土である。駅舎が撤去された後は片面ホームと待合室という駅構造で、駅前には町営バスが発着するロータリーも設けられている。

 駅前を通る県道には沿うようにして民家が建っている。そこには数々の個人商店が並ぶ商店街の名残を感じたが、今でもお店を開いているのはごく一部であり、夏の日中という条件もあり、人も車もそんなに無かったため、かなり寂れた印象だった。

 長年久那土を支え続けてきたのは、峡南高校の生徒による通学利用である。昔、午後に身延線に乗った時には久那土から高校生が乗り込んできて、それまで静かだった車内が急に賑やかになったのを今でも覚えている。

 かつては甲子園にも出場し、卒業生に元プロ野球選手もいる峡南高校ではあるが、同じく甲子園の出場経験がある市川高校と、女子の春高バレーの常連校である増穂商業と統合する形で、廃校になる運命にある。

 峡南高校が無き後の久那土、地元住民のみでは利用者はかなり少なくなるかも知れない。

                                                        (2020.8.11)

久那土のホーム。片面ホームに待合室のみという構造である。
久那土の駅入口。駅舎はないが、駅前はロータリーが設けられている駅だ。


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Kunado
長年久那土の乗客として支えてきた峡南高校。統廃合によって学校は無くなってしまう運命にある。
久那土のホーム。高校生がいない時は至って静かな駅である。
久那土