Mimasaka-Takio
保存状態の良い木造駅舎が今も残る駅、美作滝尾


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美作滝尾のかつての駅事務室内のようす。いつ駅業務が再開できてもおかしくはない。
美作滝尾のきっぷ売り場とチッキ。昔ながらの鉄道の風景がここにある。
美作滝尾のホーム。「男はつらいよ」のオープニングのイントロ時に使われた風景である。
美作滝尾の駅舎入り口にある「男はつらいよ」のロケ地の記念碑
美作滝尾
 趣のある木造駅舎が今も残る駅、美作滝尾。この駅は「男はつらいよ 寅次郎 紅の花」のロケ地として有名になっている駅である。

 シーンとしては話の冒頭部分に登場しただけではあるが、その中においてトンボの目回しは特に印象が深い。監督である山田洋次氏は映画を作るために日本中の駅を見て周り、「美作滝尾ほど美しい駅は他にはない」と絶賛している。

 本来木造駅舎は無人化されると、そのまま放置されて朽ち果てていって取り壊される例が後を絶たない。だがこの駅は無人化された後に津山市が払い下げ、地元の有志が精力的に保存活動を行って来た。その努力が実り、2008年には文化庁から登録有形文化財に指定された。木造の建物はアルミサッシを使わず木のままで、きっぷ売り場やチッキが残され、かつての駅事務室も駅員の帽子や駅業務を行うときに使うようなスタンプもあって、いつでも駅業務を再開してもおかしくはない。

 かつては交換可能駅で、向かいの線路跡は畑になっている。また駅構内を見てみると、鳥取寄りには材木工場まで線路が伸びていた様子がうかがえる。周辺の山を見ると計画的に木が切られているので、林業として成り立っている地域でもある印象を受けた。

 「男はつらいよ」で人気を博していた渥美清さんだが、実は映画の撮影の時にはガンが進行しており、事実映画自体も寅さんの活躍は全盛時よりかは少なくなっている。この時テレビでも渥美さんは「(役者は)もう限界」とポロっと弱音も吐いていた。

 「寅次郎 紅の花」の公開の翌年の1996年8月4日、渥美さんは亡くなり、「男はつらいよ」のシリーズはこれが最後となった。

                                                                 (2009.11.28)