道路の行き止まりの転回場所にひっそりと建つ貨車改造の待合室がある秘境駅、紋穂内。人だけでなく貨物も扱っていた全盛時の宗谷本線は交換設備があった関係で有人駅の方が多く、ここ紋穂内も駅舎がある有人駅時代は道内便の貨物を取り扱っていたという記録も残されている。

 しかし紋穂内の駅前通りに民家は1軒しかなく、停車する列車は1日4往復。道が行き止まりの駅に列車が停車しない時間帯に地元の人などが来るとは到底思えない。かつて姫川で安田大サーカスの団長に会った時、「紋穂内に行ったことある?」と聞かれた影響で今回の訪問に踏み切ったのだが、実際に下車して駅前の風景を見た時、テレビで紋穂内に生活利用者がいるかどうか調査した理由も察しが付いた。

 車通りがあり、駅周辺よりも民家がありそうな国道に出るには駅前通りを道なりに行き小さな宿がある突き当りを左に曲がって橋を渡るのだが、橋の下を流れる川は宗谷本線の景色のお供でもある大河、天塩川。橋だけでもかなりの長さを誇り、駅から国道に出るだけでも徒歩で約20分もかかった。さらに北へ歩いていけば宿泊施設もある美深温泉があるが、行くにはある程度の時間を見積もる必要がある。

 貨車駅の塗装は定期的に塗り直さなければならないが、紋穂内の場合は、その手入れが行われておらず、ボロボロに剥がれて錆が目立っている。しかしその錆もまだら模様となっているため、見方によってはアートとも言える。

                                                     (2020.9.1)

紋穂内のホーム。列車がない間はもう人が来る気配はない。
ホームから見た紋穂内の駅前。駅からの道はこれ1本のみである。
Momponai


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紋穂内へ行くT字路。ここには小さな宿もある。
塗装がはがれて錆が出てきている紋穂内の待合室の外壁。ここまで来るとある意味アートである。
道路の行き止まりにポツンと佇む貨車駅の紋穂内
紋穂内