長谷は三江線の駅の中では列車による到達がいちばん困難な駅である。と言うのもこの区間では1日5往復しか列車が走らないが、停車する列車は下りが2本で上りが3本、残りの5本は通過してしまうと言うものすごい駅なのである。
 
 駅は江の川沿いにあり、周辺に民家が4軒くらいしかなく、そこの住人の列車の利用がほとんどいない様である。

 私は元々そういった駅に降りるのは好きであり(今さら説明するまでもないが・・・)、少年時代から三江線の時刻表をながめていて長谷の所のレ点(通過の意味)からハイレベルな無人駅の風格を漂わせていたので前々から降りてみたい駅であった。

 私の今回の三江線の旅で長谷の駅に降りる時に16:55の列車に照準を合わせていた。しかし冬の時期の駅訪問には大きな障害があった。そうこの時刻は明るい時間帯による撮影をする私にとって日の入の時刻が非常に気になる時間帯だったのである。

 そこで私は三江線に乗車する前に三次の駅で手持ちのiモードで広島地区の日の入の時刻を調べる事にした。この日の広島の日の入時刻は17:15、東京と比べると30分遅めであるが20分で何とか撮影はできるだろうと思い、予定通りの計画で事を進めていく事にした。長谷の駅に行く前に作木口、粟屋の駅を訪問し、いよいよ念願の長谷駅に16:55、予定通りに下車をした。

 駅の待合室には駅ノートが置かれてあったが、まずは駅の写真を撮る。撮影を終えた後に駅ノートに書き込みを行おうかと思ったら待合室の中に室内灯が一つもないことが判明。徐々に空が暗くなっていったが何とか明るいうちに急ピッチであったがノートに書き込みを行うことができた。この長谷の駅ノートの管理人さんは「秘境駅へ行こう!」でお馴染みのうっしー氏である。列車の到達の難易度が高いため、書き込みは私のような駅好きの方くらいだが、駅の前に県道が走っているので車での到達は簡単である。またうっしー氏もノートの管理人と言う立場上からか、何度も訪問をしておりその際に書き込みを行っている。

 駅の写真を撮り終え、ノートの書き込みも終わり、辺りが暗くなってくると何もする事がなくなった。次の列車は最終の19:24、列車が来るまでに1時間半もの待ち時間があった。中国山地内の駅なので夜はものすごく冷え込み、自販機は言うまでもなくないので、非常に寒く、室内に明かりがないので暗かった。ホームに街灯があったのでその明かりが少しばかり室内に入ってきた。

 そんな寒い思いをしている間に三次行きの列車が1本、私の存在を知る由もなく通過していく。駅前の県道は地元の車が3〜5分位の間隔で通過していき、長谷の駅前の県道は生活道路としての役割が大きいと感じた。

 私も待合室の中でじっとしているのも退屈なのでたまにホームに出てじっと駅や周りを眺めていたりしたが、それでも限界があった。列車が到着する約30分前にとうとう寒さとあまりの退屈さに耐えられなくなり、待合室内の雪かきのシャベルを取り出して、駅の階段部分や駅前の通路の雪かきを始めてしまった。ただ利用者があまりいない上に、雪の多い地域なのでまた雪が降ってしまったら意味がないのかも知れないが、少しでもそれが約に立っていたら幸いである。

 そうしているうちに19:24に最終の浜原行きが到着し列車に乗り込む、予定では三次のビジネスホテルに泊まるのだが、いかんせん三次行きの最終列車はこの長谷には止まらないので一旦上り列車に乗り込む羽目になってしまうのである。その列車でとりあえず信木という無人駅に下車、わずか7分後、三次行きの最終列車に乗り込んだ。その列車の乗客はゼロで信木から終点三次まで乗客は私一人だけでまさに貸切状態になってしまった。そんな列車の中から通過する長谷の駅を見て、自分がやった雪かきが効果があったのか気になってしまっている私がいた。

                                                             (2003.1.7)
長谷の駅の時刻表
長谷の待合室
長谷の駅名標と江の川
長谷のホーム
Nagatani
長谷


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