大隅横川の駅周辺にはいくつか記念碑が建立され、今では観光スポットにもなっている。


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明治時代の開業時から建材の駅舎が今も残る大隅横川。嘉例川とともに県内最古の木造駅舎である。
Osumi-Yokogawa
 開業は明治36(1903)年1月15日、100年以上もの歴史を持つ大隅横川は、まったく同じ日に開業した嘉例川と共に鹿児島県内では最古の木造駅舎を持つ無人駅として知られている。

 1990年~2000年初頭においては注目度はあまり高くなく、メディアで取り上げられるのは嘉例川ばかりと、同じ古い木造駅舎なのに大隅横川は蚊帳の外といった不遇の扱いを受けていた時期もあった。

 2004年に九州新幹線が開業すると、肥薩線の鹿児島県内に特急「はやとの風」が運行されるようになってから次第に大隅横川の存在も見直されるようになり、2006年に駅舎が登録有形文化財に登録。さらに2009年には駅前が平和公園として整備された。公園には駐車場も完備されているので車でも気軽に訪問できる。もはや大隅横川の駅そのものが一つの観光スポットと言っても過言ではない。

 かつての駅事務室はイベント向けのスペースとなってしまったが、切符売り場の窓口やチッキが現存し、窓枠もアルミサッシを使わずに木枠のままというのも素晴らしいものがあるし、ホーム側の下屋根を支える柱には戦時中に機銃掃射が打ち抜いて貫通させた跡があるなど、開業時そのままの駅舎だからこそ様々な歴史の語り草となるものが残されている。

 今では地元民や旅行者が愛される駅となった大隅横川。今後も多くの来訪者によって守られていく、そう信じている。

                                                        (2020.11.22)

ホーム側から見ても堂々として建っている大隅横川の駅舎
かつての駅事務室はイベントスペースになっているが、切符売り場やチッキは原型を留めている
大隅横川の駅舎の歴史を証明する建物財産標
大隅横川の駅舎の柱にある機銃掃射の貫通跡。
大隅横川