2018年の夏、田切に究極超人あ~るのファンによって、アニメ聖地巡礼発祥の地の記念碑が造られた。


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田切の駅入口。究極超人あ~るのOVAにも登場したこともある。
田切のホーム。線路の法面上に造られた狭いホームである。
Tagiri
田切
 ホームからは南アルプスと中央アルプスが望める飯田線内でも屈指の絶景駅、田切。築堤の法面上ある小さな駅が、あるアニメによって、そのファンの間で注目されるようになった。

 そのアニメの名は「究極超人あ~る」ゆうきまさみ氏原作の人気漫画が1991年にOVAで発表され、飯田線の沿線風景、特に春風高校光画部のメンバーが下車してしまった田切の風景における描写の完成度が非常に高かったせいか、いつしか「究極超人あ~る」の聖地としてファンが訪れるようになった。

 OVAでは飯田線のスタンプラリーに挑戦していた光画部のメンバーが寝ぼけて反射的に田切に途中下車をしてしまうのだが、次の電車ではスタンプラリーの終了時間までに目的地の伊那市までたどり着けないため、アンドロイドである主人公のR・田中一郎の愛用自転車「轟天号」に光画部メンバー10人全員を乗せて、強引に伊那市に向かって走り出すという破天荒なシーンがあった。

 そんな「轟天号」で走り抜けたシーンの影響で、近年では田切をスタートして好きな道を走って、時間内に伊那市に到着すればいいという自転車のイベントも行われるようになった。道を特に設定していないのは、R・田中一郎が真っすぐ走るのが好きではなく、交差点で事あるごとに曲がってルートがめちゃくちゃになったことに由来していると思われる。

 最近のアニメでは各地の風景を忠実に描いて、ファンが巡礼に訪れるというパターンが出来つつあるが、「究極超人あ~る」こそがアニメ聖地巡礼の元祖とファンが宣言し、聖徳寺の了承を得て、2018年夏に田切の駅開業100周年の節目の年に、ホームから見下ろすことのできる聖徳寺の駐車場の敷地ほんの一部分の場所に「究極超人あ~る」ファン有志の手で「アニメ聖地巡礼発祥の地」という記念碑が建立された。

 田切の待合室内には駅ノートの他に「究極超人あ~る」の漫画本も置かれている。またファンによって、定期的に駅の清掃活動も行われている。飯田線の絶景駅、田切は「究極超人あ~る」の舞台となったお陰で常に美しい駅を維持している。

                                                         (2018.8.28)

田切の待合室にある、駅ノートと究極超人あ~るの漫画本。田切はあ~るのファンによって支えられている駅である。
田切のホームからは南アルプスと中央アルプスの絶景が堪能できる。
国道から見た田切のホーム全景。