新日本三景の一つである大沼の北東端に位置する銚子口。隣の流山温泉と並んで千葉県のような地名がついているが、これは大沼をお酒を注ぐ「銚子」に見立て、その口の部分に位置することに由来する。

 列車の交換が可能な対抗式ホームを持ち、実際に普通列車同士の交換も行われる。駅前には数軒の民家が確認でき、秘境駅のムードはないが、周辺全体としては人が住んでいるような民家はあまりにも少ない。銚子口の駅から大沼湖畔のキャンプ場や、1997年に閉園したスバルパークの跡地までは、それぞれ徒歩10分強の距離だったので実際に歩いてみたが、緑のトンネルがメインとなっている道路で熊が出没しても不思議ではない場所で列車での観光は向いてない印象だった。

 民家が少なく、列車がやって来る時間は朝と午後は15時以降という典型的な登下校ダイヤ。とりわけ銚子口に関しては1日の平均利用者が1人以下という現状も重なってしまい、2022年春のダイヤ改正では廃止の対象になってしまった。

 戦後の昭和20年代には鹿部温泉に向かう大沼電鉄の乗換駅という過去もあり、近くには大沼、ホームから場所によっては駒ケ岳を見ることができるというロケーションは悪くはないのだが、晩年は車中心の北海道にとって地元にも観光にも合わなくなった駅だと感じた。

                                                         (2021.9.23)

ホームから見た銚子口の駅舎。駅前には民家が数軒あるのみだ。


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銚子口の駅舎。利用者がほとんどいなくなり、広場ががらんとしている。
Choshiguchi
銚子口のホームからは駒ケ岳が見える。
交換可能な銚子口のホーム。普通列車同士の交換は1日に2回行われる。
銚子口