宗谷本線の秘境駅、歌内はJR側からの廃止要請を受けながらも中川町はこれを拒否し、2021年春に自治体管理駅となって駅の廃止を乗り切った・・・かのように思えた。
しかしながら町は歌内と天塩中川の間をタクシーで送迎すれば駅の維持よりも負担が減らすことが分かり、実行できる目処がついたという理由であっけなく廃止をする運びとなった。隣接する音威子府村や幌延町はふるさと納税で駅の維持に関して積極的なのに対し、中川町はその動きは全くないという温度差も少なからず感じてはいた。
元々は駅員もいて駅舎もあった歌内だが、今は取り壊された駅舎の土台の上に貨車改造の待合室がポツンと置かれた駅になった。駅のすぐ近くには民家が2軒しかなく、町に見放されたら廃止はやむを得ないと思った。ただ貨車駅の場合、閉鎖されているケースが多いトイレが歌内は使用することができるというのが唯一の救いである。
私が歌内を訪問した日は、前日から大雪の悪天候の予報が出ていて、当日もテレビでは「外出を控えた方がいい」と言っている状況だった。それでも列車が動いているうちは大丈夫だと思って強行し、途中の音威子府で上りの特急列車が遅れていたトラブルがあったものの、歌内には定刻よりも20分遅れて到着した。
歌内に滞在している間に雪よりも次第に風が強くなっていき、列車の運行障害もあり得ると思い、常時JR北海道の運転状況を確認していた。次に乗る名寄行きの普通列車の間にラッセル車とやや遅れ気味に特急も通過していって、列車は何とか動いているのを確認できた。
風雪がさらに強まっていく中、12:22発の名寄行きの普通列車が定時になっても全く来ない。落ち着いて考えれば列車は稚内を出ているため大丈夫なのだが、運転状況を何度も確認しても平常通りの一点張り。本当にやって来るのかと不安になりかけていた時に、定時より20分遅れで稚内寄りにある踏切が作動した後に無事に普通列車がやって来てくれて事なきを得た。この後予定通りに旅が進められた。
(2021.12.13)