Yowara
榎原
榎原の駅舎
榎原のホーム
榎原の待合室の中
榎原の旧改札口
 赤い三角屋根と古いモルタルの駅舎が特徴的な日南線の駅、榎原。一段低いところにある交換可能な対向式ホームの裏側には雑木林が生い茂っていることもあり、列車からの視点ではまるで迷いの森の中に存在する、童話のような雰囲気を持った駅である。また無人化されて久しく、線路内にも雑草が生えているので、車で立ち寄った場合は「こんな所に本当に列車がやって来るの?」と疑問符を投げかけかられてもおかしくはない駅でもある。

 近年の無人駅の駅舎は防犯上、窓ガラス部分に板を打ち付けてしまって景観を損ねてしまいがちだが、榎原の場合はそのような痛々しさはなく、待合室内にある昔の対話式きっぷ売り場の窓口がそのまま残っていて、有人駅だった名残を偲ばせてくれる。

 そんな窓口の脇にそっと置かれているレターケースがある。ケースの引き出しを開けてみると駅ノートが入っている。日南線内に置かれている駅ノートはきちんと管理が行き届いており、ここでも地元宮崎に在住している方がノートを守り続けている。ノートのタイトルは「YOWARA!」と某人気マンガに因んだもので、巫女の衣装をまとい、前後の髪の毛をきれいに切りそろえた和風髪の少女、「よわらちゃん」というキャラクターも設定されている。

 「よわらちゃん」の巫女姿は、駅近くの榎原神社に由来するものだ。駅から国道に出ると横断歩道の先に朱塗りの鳥居がお目見えする。その鳥居をくぐってゆるい上り坂を道なりに上って行けば、およそ10分くらいで神社に到着する。ひなびた駅の雰囲気とは対照的に、神社は立派な門構えを成している。またこの神社は縁結びの神様として知られており、彼氏または彼女と一緒になって訪問してみるのもいいかも知れない。

 私が神社に訪問したのが午前9時ごろと早かったせいか、参拝者の姿はなかった。そんな静かな境内において竹ぼうきで掃除をしている巫女の姿を確認した。彼女の衣装と「よわらちゃん」の衣装がまるっきり同じだったことが面白く、また嬉しくも感じた。

                                                             (2007.4.15)


ホームに戻る
路線別リストに戻る 都道府県別リストに戻る