パドヴァ

Padova

Basilica di S.Antonio

パドヴァは私が、イタリアで初めて生活をして、よき友たちに出会えた思い出深い街。
駅から中心街に向けてすっかり近代化されたCorso d’Popoloをまっすぐに 10分ほど歩いた左側にある公園(ローマ時代の遺構)内にこの街の至宝スクロヴェニ礼拝堂 Cappella degli Scrovegniがあります。残念ながら2001年5月末現在修復中でした。ガイドブックによれば、再公開後は、予約制になったとのこと。(п@049−8204550 http://www.cappelladegliscrovegni.it
こぢんまりとした礼拝堂内部は、聖母とキリストの生涯を描いたジョット渾身のフレスコ画で、絢爛に埋め尽くされています。特にユダが裏切りの合図としてキリストに接吻する場面は、映画の一場面を見るかのような心理的描写がなされています。公園内には市立美術館も併設。

その代わりというのも変ですが、今回の旅行中(2001年5月)「ドナテッロとその時代」Donatello e il suo tempoという企画展を見ることができました。会場は、町の中心エルベ広場のラジョーネ宮殿。ドナテッロの作品は1、2点で、あとは同時代の作家の作品が占め、装飾的・世俗的なブロンズの小品が数多く展示されていました。

エレミターニ礼拝堂 Eremitani
スクロヴェニ礼拝堂のすぐ側。マンテーニャの壁画が残っていますが、残念ながら剥落がひどい。かろうじて残った部分からは、マンテーニャの人体描写の的確さがうかがえます。

Gattamelata


サンタントニオ聖堂 Basilica di S.Antonio
  旧市街に入って南に歩きつづけ、サント広場に出ると、イタリア・ルネサンス騎馬肖像彫刻の最高傑作、ドナテッロのガッタメラータ像が広場を睥睨しています。
そしてビザンチン式の8個のドゥオーモがそびえる聖堂は、イタリアで最も人気のある守護聖人聖アントニオに捧げられたもの。内部には聖アントニオの遺物−衣のほか、舌や歯も!−が奉られ、奇跡をおこすという石を人々が触れていきます。
この聖堂ほど人々が真剣に祈りを捧げている教会を見たことがありません。くれぐれも見学の際は、信者の方々の邪魔にならないように。

主祭壇のブロンズのレリーフは、ドナッテッロの作。確か、聖堂のすぐ近くの家の壁にこの家にドナテッロが住んでいたというプレートがはめられていたはずです。

なお、今回は寄れませんでしたが、聖堂の向って右側にあるサンタントニオ信者会では、ごく若い頃のティツィアーノのフレスコ画、聖アントニオの奇跡の連作が見られます。若描きながら、その色彩感覚、構図のダイナミズムに、後の巨匠の片鱗がうかがえます。以前行ったときは、午前中のみ見学可でした。


洗礼堂  Battistero
前記ラジョーネ宮からも遠くない街の中心部にあるパドヴァの大聖堂は、サンタントニオ聖堂に押されて、あまり目立たない存在ですが、隣接の洗礼堂の内部は見ごたえあり。ロマネスク様式の建物の内部は、14世紀の画家ジュスト・デ・メナブオニのフレスコ画で天井も壁面も埋め尽くされています。とにかく一切の空白など許さないと言わんばかりにひしめきあう聖人の図像には、圧倒されます。


パドヴァの旧市街は、道幅は狭くポルティコ(柱廊)が続く落ち着いたたたずまいですが、新市街のVia San Francescoの横断歩道のすぐ側に、ローマ時代の石棺と思われるものが、かなり唐突に飾ってあります。地図を見るとTomba di Antenoreと呼ばれているものだそうです。
ちなみにスクロヴェニ礼拝堂と市立美術館のある公園が古代ローマの遺跡らしく、庭にごろごろと列柱などが転がっています。

町の最大の見所のひとつ、パドヴァ大学の解剖学教室などは、残念ながら未見。

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