「イタリア映画祭2004」寸評

Caterina va in citta'

カテリーナ、都会へ行く

2003年

監    督  : パオロ・ヴィルツィ
原案・脚本: パオロ・ヴィルツィ、フレンチェスコ・ブルーニ
撮    影 : アルナルド・カッティナーリ
音    楽 : カルロ・ヴィルツィ

イタリア映画祭初登場となったパオロ・ヴィルツィの本作は、フェリーニの『甘い生活』を本歌取りとするものだという。
2002年、ローマにやってきたのは、
1960年の作家志望のジャーナリスト マルチェロ ならぬ、12才の少女カテリーナ(アリーチェ・テギル)。ローマの名士の子女の通う学校に転校して始まった生活は、海辺の田舎町のコーラスに所属し、まっすぐに育ってきたカテリーナにとっては、「冥府めぐり」に他ならなかった!

イタリアだけではなく、世界中の女の子に共通するに違いない、「転校生」の取り合いがクラスの女子二大派閥の間で繰り広げられる。まず、最初は左翼インテリの娘マルゲリータ(カロリーナ・イアクゥアニエッロ)のグループ、そして次に右翼の政治家の娘ダニエラ(フェデリカ・スブレンナ)のグループに。
ロックを聴き、早くもアルコールやタバコに手を出しているマルゲリータ組。ショッピングに明け暮れ、パーティ三昧のダニエラ組。ひとり少女らしくバカ正直なくらいに素直なカテリーナは、皆に好かれるし、浮いているわけではないのだけど…。

娘の「人脈」を取っ掛かりにして何とかうだつのあがらない小学校教師の身から陽の当たる場所に出たい、と悪あがきするカテリーナの父ジャンカルロ(セルジョ・カステリット)がからんでくるので、話はおかしくなる。所詮は、右も左も同じ「有名人」、俺は負け犬と鬱屈するパパ。そしてカテリーナに輪をかけたようにおっとりと構えていた母アガタ(マルゲリータ・ブイ。この演技でダヴィド・ディ・ドナテッロ賞・助演女優賞受賞。巧い!)は…。カテリーナがクラシック音楽が好きなのと並んで、マンマが「専業主婦」というのも、クラス内で珍しいケースなんだけどね。

後半、話がヘンな方向に展開して終わった(特に親世代)のが、悪くなかった。
カテリーナがひとり自室で、オペラを聴きながら、ぴょんぴょんと元気に飛び跳ねるシーンが、この映画の真骨頂!だったかもしれない

P.S. ロベルト・ベニーニ、ミケーレ・プラチドら「セレブ」のカメオ出演あり。

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2004年6月11日

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