腹から尻尾へかけてのブリッとした膨らみ。隅ずみまで力ではち切ったやうな伸び縮み。
そしてふと、蝉一匹の生物が無上に勿体ないものだといふ気持に打たれた。
梶井基次郎「城のある町にて」
やわらかき蝉生れきて岩つかむ 西東三鬼