もし念仏ものうく、読経まめならぬ時は、みづから休み、みづからおこたる。(中略)もし余興あれば、しばしば松のひびきに秋風楽をたぐへ、水の音に流泉の曲をあやつる。(中略) また麓に一つの柴の庵あり。すなわちこの山守がをる所なり。かしこに小童あり。ときどき来りてあひとぶらふ。もしつれづれなる時はこれを友として遊行す。(中略)もしうららかなれば峰によぢのぼりて、はるかにふるさとの空をのぞみ、木幡山、伏見の里、鳥羽、羽束師を見る。
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