物を以てする学問の方法は、物に習熟して、物と合体することである。物の内部に入込んで、その物に固有な性質と一致することを目指す道だ。理を以てする教えとなると、その理解は、物と共感し一致する確実性には到底達しえない。
「本居宣長」で小林秀雄はこう述べた後、荻生徂徠を引用しています。
「礼楽言ハズ、何ヲ以テ言語ノ人ヲ教フルニ勝ルヤ。化スルガ故也。習ヒテ以ッテ之ニ熟スレバ、未ダサトラズトイヘドモ、其ノ心志身体スデニヒソカニ之ト化ス。ツヒニ喩ラザランヤ」