(わか)きより俗(よ)に滴(かな)わん韻(しらべ)無く
(さが)として本(も)と丘と山とを愛せしに
誤りて塵ばめる網の中に落ち
一たび去りてより三十年
(たび)する鳥の旧(むかし)の林を恋い
池の魚の故
(むかし)の淵を思うごと
荒れちを南の野の際
(はて)に開かんと
拙きを守りて園田に帰りぬ。

       
吉川幸次郎訓読するところの陶淵明 「園田の居に帰りて その一」の半ばです。
拙を守る
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