夏

        春と夏の間の、夏が来る予感。

        ハルゼミのひそかな声に、今日気づいた。

                       あじさいの小径に寄り道する                                                          

                                        ハスの花咲く法金剛院に寄り道する 

                                        夏へとつづく路へ

                                        なつかしい場所へ

        梅雨にはまだ早いむし暑い夕方。

        ようやく冷房の入ったバスの中で、

        仕事の終わった僕は

        かえり道の空模様を案じてる。

           

        

       

        梅雨が終わって、夏はこれから。

        こどもたちは夏休み。

        夏休みって何してたっけ?

        あのころは、時間は無限だと思ってた。

                

            真っ黒な雲が街をおおい、

        たちまちフロントガラスには大粒の雨が。

        夕立三日。 

     

        バスに乗った僕は、まるで他人事のように、

        いつしか浅いねむりに落ちていた。

       

        ふと目覚めると、いつしか雨は上がって。

        ビルも電柱も、車もカンバンも

        道も、いきかう人も

        街の色は、セピア。

        

             

        気がつけば、蝉時雨も止んで。

        聞こえるのははやくも、秋の虫の音。

        もう次の季節がそこまで来てる。

 

 

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