右肩上がりの経済成長が終わり、日本企業の終身雇用制度も崩れ、新会計基準(退職給付会計)などで企業年金などの過去勤務債の積立不足などが問題となり、日本企業の退職金制度が見直される段階に来ている。
退職金前払制を導入した企業(松下電器産業など)では毎年、その年の退職金相当額を計算し定年退職時に受取ると仮定し現在価値に割り引いて支払う方法、社員は前払いでも定年時一括でも選択出来る。
このように退職金制度の見直しが進む理由は、今までの企業会計では退職金と企業年金は、同じ退職給付にかかわる退職債務であるのに、別のものと見なされていたが、これを一本化し、企業が負担するべき債務を明らかにしようというのが、退職給付会計なのです。退職時に払うのだから、終身雇用制では、現時点でその全額を積み立てておく必要はなかった、その時間差を考慮するため割引率という係数を使い、現時点の価値を求め、退職給付債務(PBO)とする。
従来の制度の下、退職金の積立は支払額の40%程度しかしていない(一度に退職しないのでこれで廻っていた)企業が多く、年金についても同様で、しかも運用成果が上がらず、必要な資金が確保できない状況で、ほとんどの企業が今までの積立では退職給付債務(PBO)全体をカバーすることは不可能になっている。
ところが新会計基準では企業はPBOに対する資産(負債とういべきもの)をすべて積立なければならなくなった。そこで表面化してくきたのが企業の資金不足である
年金の場合も企業の資金不足が響き、いまのままでは年金の支給額が決まっている「確定給付型年金システム」では(積立負担が)対応しきれなくなって、個人の責任による掛け金の運用によって給付金が変動する「確定拠出型年金システム」(これが日本版401K)に移行へと進みつつある。
多くの企業が退職金規定を見直したり、約半分を現在の退職金の積立分として個人に渡し、個人が運用先を選択し、運用資金として個人のものとして積立られ、定年退職時に受取るが運用先しだいで退職時の受取額はかなり個人差が出ることになる。また、この401K部分は中途退職時には支給されずに、企業間で移動(個人が移動するので)し積立は継続し、定年(定年年齢)時に受取ることになる。こういった方向に多くの企業が進みつつある
|