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〔2001/10/20東映系公開〕



高校の体育館。バスケットをする彼らの中で、ひときわ鋭い目つきで他の生徒を蹴散らす少年。彼の名は杉原。高校3年生ながら、今だ自分の夢も進路も定まらず、相変わらず喧嘩に明け暮れる日々。中学生のとき彼は、“広い世界を見る”という希望を抱き、民族学校から普通の高校へ入学するが、想像以上の差別にあうことになる。杉原とは、中学生当時杉原の父・秀吉が、ハワイ旅行をきっかけに国籍を朝鮮から韓国に変えた、いわゆる“在日”。幼い頃から、元ボクサーの父にボクシングを叩き込まれ、喧嘩では全戦全勝。杉原にとって最初の勝利者は、やくざの息子・加藤。他にも彼の周りには、“スーパー・グレート・チキンレース”と称した命がけの肝試しに勝利した唯一の生存者・タワケ先輩や、悪仲間の元秀(ウォンス)らとつるむ中学生時代だった。もちろん杉原も、このレースの這えある勝利者。そんな杉原にも、民族学校開校以来の秀才、親友でもある正一(ジョンイル)との語らいは、なによりも心和み楽しいひとときでもあった。


ある日杉原は、やくざの息子加藤のバースディーパーティーに招待された。会場で、際立って目をひく一人の少女の出現。彼女の名は“桜井”。今まで恋愛には無縁だった杉原が、あっけなく恋に落ちていく・・・。彼女の家でビデオを見たり音楽を聴いたりと、二人が共有する時間が積み重なっていく・・・。全てが怖いくらいうまくいく日々。そんな杉原も、いつかは打ち明けなければならない“在日”であるという事実。大切なものを失う怖さが、彼の心を揺さぶりつづけていた。


そんなある日、信じられない出来事が起こった。ある誤解が元で、命を落としてしまった親友・正一。彼が直前、杉原に残した「話したいことがある」と声を弾ませていた言葉が、耳から離れずにいた・・・。親友の突然の死にショックを受ける杉原に、桜井が優しく寄り添う・・・。ホテルの一室、とうとう桜井に告白するときがきた杉原。はじめて桜井と一線を超えようをしたとき、普段の強さからは想像もつかない彼がいた。「・・・在日なんだ。」と、告白する杉原。「父さんが、血が汚いって・・・」と答える桜井の驚きおびえる姿に、深く傷つくことに。


離れてしまった二人。やがて杉原は、父とぶつかり合いながらも大学へ行くことを決意する。そしてクリスマスイブの日がやってきた。電話の向こう側に、久しぶりに桜井の声がした。・・・


※“スーパー・グレート・チキンレース”とは、駅の構内に電車が入ってくるのを確認して線路内へ降り、電車を背に全力失踪するというもの。見事引かれないで、電車を止めてゲームオーバー。映画では、神戸市営地下鉄「上沢」駅で撮影された。
 
 
(文:yuma
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