胃捻転
 健康そのものだったイヴに突然起きた胃捻転の記録です。

 胃捻転は、何かがきっかけで胃に急激に空気やガスが溜まり膨張し、胃が捩れて出入り口を塞いでしまった状態を言います。
 胃が捩れた時、胃に繋がっている太い血管も巻き込み血流が遮断され胃や周辺の臓器が壊死したり心臓への血液供給が滞り
 ショック状態になり死に至る病気です。
 胃捻転は胸の深い大型犬に多いと言われている突発的で危険な病気ですが、病院の先生の話では最近はダックスやコーギーなどの
 胴長犬種も多く起きているそうです。イヴは体型的になりやすい骨格だそうです。
 胃捻転を起す原因というのは未だ不明で、一般的にはドライフードを食べた後大量に水を飲んだり、食後に激しい運動をさせたり、が挙げられて
 いますが、イヴの場合はそれには当てはまりませんでした。過剰なストレスも原因の1つにあるようです。
 原因が特定できないので予防も難しいのですが、とにかく胃の中にイッキに食べ物や水を入れない事が大事という事は感じました。


 2010.9.18 発症まで
 
3連休初日、蓼科方面に車泊旅行に行きました。
 途中渋滞が激しくて5時間もかかりましたが急ぐ旅でもないのでのんびりと行動。
 蓼科湖周辺を散歩したり、ロープーウェイに乗って山頂の散策路を散歩したり、
 この時点では爆裂テンションでいつもと何も変わらない様子のイヴ。
 ただし、この木道散策路で両脇に生えてる笹の葉を食べたんです。
  ※後々の話で笹は消化されないので笹が胃の出口を塞いだ可能性も考えられます。

 夜は白樺湖畔で車泊。前にも泊まった事がある慣れた場所でした。
 17:30頃イヴアシュをバリケンに入れ、お湯でふやかしたフードを与えました。
 そのまま私達はお風呂と食事に行き2時間半後に車に戻りました。
 イヴアシュを車内でフリーにしてしばらく車で過ごしました。
 この時イヴはお水を結構飲みました。
 昼間あまりお水を飲んでなかったので特に気にせず飲みたいだけ飲ませました。
  ※これがいけなかったんじゃないかと思います。
 
 21:00頃いつもの夜散の時間に散歩に行きトイレを済ませます。
 人間はその後も起きてましたがイヴアシュは散歩後は横になって寝ていました。
 22:00頃眠くなったので私達も寝る準備をしているとイヴが起きてまたお水を飲みました。
 じゃあ寝ますか・・・と電気を消すと、突然「ガフッ」と大きな嘔吐の声がしたので慌てて
 電気をつけるとイヴが何度も何度もゲップのようなカラ嘔吐を繰り返していました。
 口からは何も出てなくて空気が出るような音ばかり・・・。こんな様子初めてでした。

 あまりにも苦しそうなので車の外に連れ出してみたものの5分歩いてカラ嘔吐の繰り返し。
 だんだん足取りも重くなりとうとう動けなくなりました。
 その時初めて体の変化に気づきました。胴回りが異常に太くなっているんです。
 お腹を触ると太鼓の革のようにカンカンに張っていました。
 もしかして腸に何か詰まったんでは?と、とにかくただ事ではない事だけは解ったので
 慌てて車を出してすぐ家に帰りました。その間イヴは静かにうつ伏せで寝ていました。 

 2010.9.19 病院で
 事の重大さに気づいてなかった私達は朝9:00の開院時間を待って病院へ行きました。
 でも病院に行く直前にネットで症状を調べて胃捻転と知り血の気が引いていました。
 病院でレントゲンを取りまず胃捻転で間違いないと言われそのまま緊急手術になりました。
 レントゲンでは通常こぶし大の胃が胴体の半分まで膨張して膀胱や腸を圧迫していました。
 カンカンに張っていたお腹は膨張した胃に押し下げられた内蔵達だったのです。
 イヴを先生に預けた瞬間から涙が止まりません。
 先生は病院に来るまでのイヴの様子が呼吸も穏やかで伏せて寝ていられたので生きて戻る
 可能性の方が高いから大丈夫ですよと言ってくれましたが、ネットで調べてた子達はもっと
 早く対処していたのに亡くなっていたので私はもうイヴに会えないんじゃないかと思いました。
 なんで朝まで待ってしまったんだろう・・・後悔ばかりが押し寄せました。

 手術が無事終わったと連絡があり夕方病院へ行きました。
 手術中の写真を見ながら先生の説明を受けます。
 開復時、イヴの胃は風船のように膨張して、真っ白に変色し180℃回転して裏側が見えて
 いる状態でした。胃を切ってガス抜きして捩れを戻し再発防止の固定をして手術は成功。
 胃や周辺臓器の組織の壊死は無かったそうでとてもラッキーだったそうです。
 ただし手術は成功しても血流が戻った事で遮断されていた毒素が体に巡るので術後に
 ショック状態を起して亡くなる危険が高いらしく2〜3日は安心できない状態でした。

 イヴが動揺するといけないので遠くからイヴの様子を覗くと、座った状態で遠くを見て
 ハァハァ息は荒く辛そうな感じはしたけど元気そうで少し安心しました。

 その後イヴはショック症状も起さず無事退院できました。
 終わってみればイヴは臓器を何も失う事もなく、肝臓・膵臓・腎臓共に正常に機能し
 奇跡としか思えない生還を遂げました。
 でも後々聞けば、手術中に2度も不整脈を起こし非常に危険だったそうです。

 私達にちゃんと知識があればもっと早く対処できたのに・・・。
 全てはイヴの命運に助けられたのです。本当に助かってくれて良かった。



 胃捻転の予防は難しいのかもしれませんが、加齢も1つの原因だそうです。
 私達はイヴが確実に歳を取ってるという認識が甘かったと思います。足の筋肉や体力だけでなく内蔵も同じように衰えているという事。
 いつまでも若いような気がしてケアが足りていませんでした。
 今回助けてもらった大切な命をイヴの本当の寿命の日までちゃんと繋げる事・・・それが私達のやらなければけない事だと思います。








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