完勝 −2001年 2nd磐田戦−
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 この試合は完勝だった。それは、勝利は圧倒的な技術の差のよってもたらされたものである。私は、従前からジュビロ磐田というチームは名波と高原だけのチームと見ていた。名波移籍中のジュビロの惨状を思い出されたい。ジュビロの個々のメンバーが優れているというイメージは幻想に過ぎない。このチームは、優れて名波の能力に依存したチームだ。あの中山にしてからが、名波のいないオールスターでは直線的なタテへの突破に終始し、オフサイドの山を築いていたに過ぎない。(中山はパスの出し手の動きを見ないため、中盤の選手が中山に合わせてパスを出すことに依存している選手である。そのため、選抜チームではあまり役に立たないのだ。)ジュビロのメンバーで、この日欠場していた藤田も含め、仮にガンバに移籍してスタメンが取れる選手は、名波以外、私は思いつかない。それは、ジュビロの選手の技術レベルが低いからである。

 この試合では、ジュビロは藤田がいなかったが、藤田は1stのガンバ戦でもほとんど消えており、ガンバには通用していない。よって、両チームとも戦力ダウンは全くないフルメンバーでの戦いと見なして差し支えないだろう。この前提に置いて、ガンバの勝利は、アップ中からある程度予測された。ガンバの選手は二川、ビタウに代表されるようにキックの瞬間手が伸びきっており、上半身、特に肩の回転を上手に下半身に連動させ、強く、速く、長いパスを蹴ることができる。(ちなみに、今年の2nd選手名鑑「ダイジェスト8/22号」のキックの瞬間の写真で、ビタウ以外の他チームの選手は手が伸びていない。)これに対し、ジュビロの選手は肩がほとんど回転せず、上半身が突っ立ったままなので、下半身の力だけでボールを蹴っている。そのため、キッ クの精度、強さ、速さとも著しくガンバに劣るのだ。私が気づいた中で、特に問題のある選手として、西を挙げたい。

 また、トラップについてもジュビロは問題がある(「技術の勝利」参照)。なかでも、中山はアップ中にあの下手な選手はだれかと、目につくほどボールが止めれない。

 今年のJリーグでほとんどのチームがガンバ相手には守備的に闘う中、ジュビロは数少ないガンバ相手に引いてこない、互角に勝負を挑むチームである。 前半、山口、遠藤のボランチが機能しており中盤は完全にガンバが制圧していた。これに対し、ジュビロは横パス(これをクレバー.リベロ氏は複数のパスによるサイドチェンジとよぶ。)によるサイドチェンジで攻めるのだが、ガンバのディフェンスが全く揺さぶられない。ジュビロの横パスは90分通してまったく効いていなかった。

 これに対し、ガンバは、ダイレクトパスをつないで攻め上がり、攻撃する。このようなプレーはジュビロにはできない。例えば、ガンバは相手選手と選手の間の狭い空間にパスを出す。これに対し、ジュビロの選手はスペースにパスを出していた。パスの精度、強さ、トラップの技術が違いすぎるため、ジュビロはプレーのひとつひとつに必要とする空間がガンバより広いのだ。また、ジュビロの選手はトラップする際に、次のプレーをイメージしてボールを落とさないので、ボールを置き直す必要が生じ、タッチ数が多くなってしまい、ガンバに比べややもすると緩慢に見える。このため、1stの磐田戦でも既に明らかだったのだが、ジュビロ選手は1対1ではガンバ選手を抜けないということが起こる。技術レベルが違いすぎるからである。この試合でも宮本があと10m最終ラインをあげて、さらにコンパクトなプレイエリアを作り上げていれば、技術に劣るジュビロはパスが通らず、中盤を完全に崩壊させていたことだろう。

 ジュビロには前半1本だけ都築が弾いた強いシュートがあったが、これもシュートコースは完全に消えていた。また、ガンバのDFがジュビロFWのシュートの体勢を悪くするアタックも90分続けていたので、都築の「毎日新聞のコメント」にいうごとくジュビロのシュートは「枠には飛ばない」ものがほとんどであった。シュートコースの有無とDFのブロックで見ていると前半はガンバのピンチはなかった。完封である。

 後半、遠藤が下がり、橋本が入るとガンバの中盤のバランスが崩れ、ボランチの位置でボールが奪えなくなる。このため、後半はジュビロの「怒濤の攻勢」の様に見えたのかもしれないが、ジュビロのタテへのドリブルは最終ラインで止められていて目立ったピンチはなかった。この試合でのジュビロの攻撃のパターンは3つ有った。1,中央からのタテへのドリブル。(最終ラインで止められる。)2,サイドからの奧の突破(新井場に止められる。奧は新井場と正対すると突破できないのでバックパスしかできない。このため、奧のドリブルは前半で終息してしまい、奧は消えてしまう。)3,名波のFK。この中で最も得点のチャンスがあったのは名波のFKであったにもかかわらず、後半名波を川口に代えたため、ジュビロはFKでのチャンスもなくなった。

 後半ガンバボランチのバランスが崩れると、ジュビロの中央のドリブル突破、縦パスが通り始め、そのため、福西の攻撃参加が可能になりジュビロは人数をかけて攻められるようになったこと。また、最終ライン勝負になっていたので、私は、ディフェンスのひとつのミスによるほころびでガンバは失点するのではないかと危惧していた。相手のミスにつけ込むことにかけては、ジュビロはJリーグでも最も訓練されたチームである。

 たが、最終ラインは最後まで機能していた。前述したが、最後約15分の時間帯は最終ラインを高くすることで、ジュビロを締め上げることが効果的だったのではなかったか。そのために終盤15分くらいは4バックからF3にシステムの主体を切り替える必要もあったかもしれない。

 後半残り15分ジュビロは、川口を使い手薄に見えたガンバの右サイドにアタックを敢行する。この采配は私も考えており、妥当だったと思うが、いかんせん川口は足が遅い(基準:柳本)。人間がサイボーグに勝とうとしてはいけない(「技術の勝利」参照)。残り15分は死にものぐるいのジュビロの攻撃と、ガンバボランチの息切れからジュビロの攻勢の時間となったが、仮に1点取れたとしても、ジュビロには2点目をとる力量は無かったと思う。

 後半はジュビロはこぼれ玉を押し込んで1点は取れたかもしれないが、ガンバは決定的なチャンスが2回有り、3−1でのガンバ勝利が順当なところだったのでは無かろうか。

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